更新日:2023年08月30日 20:16
仕事

1500万円の退職金を元手に居酒屋経営。1年で破綻したワケは「客の意識の低さ」

新しいモノに挑戦したい――。オリンピックに感化されてスポーツを始め、一度しかない人生と脱サラして起業する。その気持ちは大切だが、若かりし頃と同じ感覚でいると思わぬ大ケガに繋がるもの。身体的、精神的、金銭的な危機に直面した「衰えた挑戦者」たちから学べ!今回は脱サラ起業編。

上場企業の管理職を捨て、居酒屋経営に

居酒屋

大手企業を脱サラ後、趣味の居酒屋巡りが高じて居酒屋経営へ。オープン時、こだわりぬいて仕上げた自らの店の前で

 上司の顔色を窺い、部下のパワハラ糾弾に怯える毎日。そんな生活からの脱出は、全サラリーマンの悲願だ。47歳のときに上場企業の管理職を捨て、居酒屋経営に飛び込んだ児玉謙次さん(仮名・54歳)は嘆く。 「もともと居酒屋巡りが好きで、日に日に自分の店を持ちたい思いが強まっていくなかで人事異動があり、傘下の集客施設内に新しい店を立ち上げるプロジェクトを任されたんです。『脱サラの練習をせよ』と神様がプレゼントしてくれたように感じましたね」

退職金1500万円+借入金1000万円で開業

 張り切った児玉さんは、地方の名酒を取り寄せるなど、個性的な店づくりに励み、好調な売り上げを残した。この成功体験で、飲食店を切り盛りする才能を確信。知人の居酒屋で2か月修業し、退職金1500万円と銀行融資1000万円を元手に、東京都下に約16坪の大衆居酒屋を構えた。
居酒屋

スケルトンの店を借りると、外装、内装とも手を抜かずに一から作り上げた

「融資はすべて内外装費につぎ込み、食材にもこだわったため、損益分岐点は月商170万円。ところが初月は120万円しか売れず、さらに翌月は100万円を割る始末。虎の子の退職金がみるみる減っていくのは本当にツラかった」
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なにより負担だったのが……
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