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「野党共闘」は自公の選挙協力を模範とせよ<慶大名誉教授・弁護士 小林節>

「野党共闘」と「選挙区内調整」

 ところが、この期に至っても、野党第一党の立民からは、「特定の選挙区で共産党の候補者を降ろせ」「共産党とは選挙協力はしても、政権を奪取しても共産党は閣内に入れない」とか、訳の分からない話しか聞こえてこない。これは、要するに、共産党は立民の議席獲得のために犠牲になれ……と言っているに等しい。政治家以前に人として失礼千万な話であろう。

「共産党異質論」について。公開討論を

 もちろん、立民もそれなりに「理屈」を言う場合がある。曰く、「共産党とは基本理念が異なるから内閣に入れることはできない」。  しかし、それならば、「俱に天を戴けない」相手に、自分達の存続にかかわる選挙協力など求めるべきではない。  しかも、「基本理念が異なる」と言っている内容に説得力がない。曰く、「自衛隊、日米安保、天皇制等について考え方が違う」。しかし、まず、立民の中でも上記論点について意見が一様でないという事実を指摘しておきたい。  その上で、⑴日本国憲法は、本来、自衛隊や日米安保のいらない世界を目指しているが、今の国際情勢がそれを許さないことは認める。しかし、憲法が海外派兵を禁じていることは今守られるべきである。⑵明治憲法下の統治権を総攬していた国の主権者たる天皇と、日本国憲法下で主権者国民の総意に基づく象徴天皇は、法的に別異のものである……。という共産党の主張のどこが「俱に天を戴けない」程にまずいのか? 立民が公開討論の場を設けることを期待する。  これは非常に重要な、時の公的関心事であるのだから。 <文/小林節> <初出:月刊日本10月号> こばやしせつ●法学博士、弁護士。都立新宿高を経て慶應義塾大学法学部卒。ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。著書に『 【決定版】白熱講義! 憲法改正 』(ワニ文庫)など
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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