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データ活用のプロ集団は日本の大企業の何を変えたのか? ブレインパッド・草野社長を直撃

SNSリサーチで新たな次元へ

草野隆史 馬渕磨理子馬渕:日本コカ・コーラではどんな取り組みをされましたか。 草野:今や常識となっている SNS を使ったユーザー動向調査です。日本コカ・コーラとの取り組みは、それを新たな次元へと引き上げるものでした。 馬渕:新たな次元というと? 草野:マーケットリサーチのあり方が変わってきています。今までは、メーカーが消費者のことを理解するために市場調査をやるわけですが、協力してくれるモニターの人にはどうしてもバイアスがかかってしまいます。 馬渕:確かに、1時間1万円などの報酬を貰って協力するアンケートは、ある意味バイアスがかかって当然ですね。 草野:だから、ものづくりをしている側は、そのアンケートを基に製品を作っていいのか、どこか不安があるのです。そういった、バイアスがないものがSNSの日常の情報です。そこに消費者の真の利用シーンがあると思いませんか。 馬渕:そうですね。例えば、コカ・コーラを飲んでいる人の膨大な量のSNS画像をブレインパッドのAIで解析することで、今まで想定していない利用シーンが分かるということですか。 草野:そうです。そういう、つぶやきのデータを消費者理解のために使うのは、世界的にはもうスタンダードになってきています。日本ではSNSの画像をマーケットに直接的に使う事例って当時は先進的だったと思いますが、スタンダードになってきていると思います。

災害医療シミュレーションが必須に

草野隆史 馬渕磨理子馬渕:災害医療分野ではどうでしょう。 草野:この取り組みは、2021年1月放映の「NHKスペシャル」にも取り上げられました。日本医科大学とともに、首都直下地震や南海トラフ地震などの巨大地震が発生した際に、医療資源の不足により発生する「未治療死」を防ぐための共同研究を行いました。 馬渕:「未治療死」とは。 草野:大震災のときに病院に運ばれたものの、治療が満足に行われないまま死亡に至ることを指す言葉として使われています。大災害時には、病院そのものが機能しなかったり、医療従事者も被災するなどして、医療物資も乏しい状況になってしまいます。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災においても実際に発生したと言われています。 馬渕:これから起こり得る地震にどのように備えていけばいいのでしょうか。 草野:未治療死がどれだけ発生するかを予測するには、震災発生後、各地で時々刻々と発生する患者の数はもちろんのこと、彼らを搬送する救急車や、受け入れ先の病院・病床、処置を行う医療スタッフのキャパシティ等を考慮する必要があります。これらの複雑に絡み合う要素を加味しながら精度の高い試算を行うには、数理計算に基づいた緻密なシミュレーションが必須となります。こうした分野を得意とするのがブレインパッドです。 馬渕:シミュレーションをしておくことで、大震災発生時の被害を最小限に留めることができるのですね。 草野:NHKスペシャルでの「南海トラフ地震の発生により、高知県では未治療死者数が1万人を超える」という衝撃的な予測結果は驚きを持って受け入れられました。今回の研究は大震災発生後の未治療死のリスクを広く一般に知らしめるきっかけになったようです。 草野隆史 馬渕磨理子草野 隆史氏 東京都出身、1997年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了後、日本サン・マイクロシステムズ(現日本オラクル)入社、2004年ブレインパッドを設立し代表取締役社長に就任。一般社団法人データサイエンティスト協会の代表理事も務める。 <取材・文/馬渕磨理子 撮影/林 鉱輝>経済アナリスト/認定テクニカルアナリスト、(株)フィスコ企業リサーチレポーター。日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでマーケティングを行う。Twitter@marikomabuchi
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