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“タモリCM効果”で黒字化達成したメルカリ。次に狙う意外な場所とは

メルカリの連結最終損益が初の黒字に

メルカリ

メルカリHP

 9月15日、メルカリの時価総額が初の1兆円に達し、2021年6月期の連結最終損益は初の黒字に浮上しました。一般に、マネタイズが難しいとされるCtoCのビジネスモデルが市民権を得られた1つの成功事例です。  筆者は2019年に「『メルカリは赤字でヤバい』は本当か?」で、早くからメルカリの将来性に言及していました。  当時、メルカリの赤字の理由は「宣伝広告費」と分析していました。つまり、赤字理由は、マーケティング費用だったのです。しかし、宣伝広告費は固定費ではないため、いつでも金額を下げることができます。メルカリは、宣伝広告費を下げればいつでも黒字化できる状態にありました。  ただ、シェアを拡大し「攻めの姿勢」を取っていることから、あえて赤字で突き進んでいたというのが筆者の解説でした。そこから、2年――。メルカリは黒字化を達成しましたが、この黒字はこの先も続くのでしょうか。一時的なものなのでしょうか。  テレビCM出演中のタモリさんも知らないメルカリ黒字化の秘密、いつものように3分の解説で明らかにしていきましょう。

黒字の理由は広告費を抑えたからではなかった

 まずはメルカリの業績から。  2021年6月期の売上高は前期比39%増の1061億円、営業損益は前期の赤字から244億円改善し51億円の黒字を達成しました。コロナ以降、経営環境が悪化することを見越して、採用やマーケティングの費用を抑制し、その結果、年間の広告宣伝費を前期比で25億円も削減しています。  とはいえ、決済資料から読み取れることは、今回の黒字化は単純に「費用を削減した結果だけ」ではないことがわかります。営業損益は改善幅244億円ですが、そのうち218億円が「増収効果」(売上高から売り上げ連動費用を差し引いたもの)だと記載しています。  つまり、広告削減費用25億円を大きく上回る効果が出ているのです。  さらに詳しく見ていきます。メルカリJPの売上高に占める広告宣伝費、人件費の割合がここ4年で84%から60%に低下しています。 メルカリ 一方で、売上高に占める調整後営業率は22%から32%へと上昇しています。つまり、メルカリは営業利益率があがる“なにか”をしていたのです。 メルカリ アプリのMAU(月間アクティブユーザー)を見ると、約600万人増加し、出品者も約600万人増加。コストを抑えながらも、アクティブユーザーを獲得し、利益も出せるようになってきているということです。
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タモリ効果にたしかな手応え
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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