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不調のミスドと絶好調のスタバ。キャンペーンから見えるチェーン店の“愛され力”とは

ご当地フラペチーノからわかるスタバの強さ

スターバックス 店舗 では、なぜスタバはここまで“強い”のでしょうか?  そのヒントの一つが、「地域、店舗、1杯にこだわる」という同社のミッションとキャンペーンです。今年6月30日から8月3日まで展開されていた「47 JIMOTOフラペチーノ」はとても話題になりました。日本全国の名産や特色を生かした地域限定品として話題になったこのメニュー。47もの異なるメニューを提供することによる業務上の煩雑さを考えれば “あり得ない”取り組みです。しかし、この企画は、スタバの理念を伝える最良の手段でした。  この「47 JIMOTOフラペチーノ」の大きな特徴の一つが、「ご当地」ではなく「地元」の誇りとなる名産を使用している点です。例えば、栃木といえば名産のイチゴであるとちおとめを使いそうなものですが、違うのです。栃木県民はかみなりを身近な存在として「雷様(らいさま)」と呼んでおり、夏の風物詩として身近な存在だそうです。そこで、「栃木 らいさま パチパチ チョコレート フラペチーノ」として、かみなりをイメージしたフラペチーノができあがったのです。

ボトムアップで作り上げたブランド力

 こうした地域の誇りを生み出すメニュー開発に加え、来店客だけではなく、パートナー(従業員)もリスペクトするのがスタバの特徴です。実はこのご当地メニュー、すべて各地域のパートナー(従業員)がアイディア出しなどの開発に携わっているのです。そして、ご当地フラペチーノの登場により、今夏のスタバの業績は絶好調でした。  いま、企業は株主資本主義の時代から、従業員や取引先まで含めて企業の仲間であるという考え方が浸透しています。スタバはすでに、この世界観を自社で体現していると言えます。地元の人が誇りを感じられる商品を店舗スタッフの声をもとにボトムアップ式に開発ができている事実こそが、今のスターバックスの強みなのです。
スターバックス

スターバックスの理念(HPより)

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「#ミスドの思いド」は何がしたかったのか?
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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