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不調のミスドと絶好調のスタバ。キャンペーンから見えるチェーン店の“愛され力”とは

「#ミスドの思いド」は何がしたかったのか?

ミスタードーナツ 一方、ミスドはどうでしょうか。  4年で200店舗閉店しているミスドですが、ここ最近業績がV字回復の兆しであることは、前回の記事で述べました。足元の2022年第1四半期の営業利益は7.1億円。これは不採算店舗を閉鎖することで、収益を確保できる店舗に絞り攻勢をかけていたからです。そんなミスド、現在はキャンペーンを通じて復活を狙っているようです。  そのキャンペーン内容から同社が復活できるのかを紐解いていきましょう。2020年に50周年を迎えたミスドが行ったキャンペーンは、「開けた瞬間、いいことあるぞ」というコピーでおなじみの菅田将暉さんを起用したテレビCM。さらに、Twitterでミスタードーナツとの思い出を投稿してもらう「#ミスドの思いド」というキャンペーンを実施しました。  このキャンペーンの狙いは何でしょうか。それは、キャンペーンを通じてミスドというブランドに温かみを感じてもらうことです。近年は企業の公式Twitterアカウントは、商品告知がメインであり、消費者と積極的にコミュニケーションを取るスタンスのアカウントはあまり多くありません。つまり、消費者と企業の接点は「商品の紹介」に終始しがちなのです。

ミスドの理念とは?

 しかし、ミスドは違いました。50周年を機に「ミスタードーナツというブランド自体」に対する声を集めたいと考え、「ミスドの思いド」を企画したのです。ミスドの理念は「客の心を心とせよ」です。これは、ミスドの親会社であるダスキン企業集団の恩人でもあった故・倉本長治氏が、ミスタードーナツのために送った言葉です。  ミスドのSNS戦略を見ていると、まさに消費者と心を通わせようとする「客の心を心とせよ」という理念が浸透しているように思います。戦略は違えど、スタバと同様、ミスドも「日本各地で愛されるブランド」になるためにキャンペーンを実行していることが理解できたと思います。
ミスタードーナツ

ミスドの理念(HPより)

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“愛される”という点で通底
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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