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東京ディズニーリゾート「541億円赤字でも株高」のナゾ。ファンが買い支えている可能性も

財務状況は安定したキャッシュリッチ企業

オリエンタルランド

出所:マネックス証券より筆者作成

 一方、財務状況は安定しています。  コロナショックでの休園で大きく売上をダウンさせているのにも関わらず、自己資本率が73%を維持しています。この点は、一つの安心材料ですが、それでも業績と株価水準に乖離を感じる人も多いでしょう。  マーケット関係者の中には、株高について 「もはや、株高の理由が見つからない、理由なき株高」 「オリエンタルランドは独自のビジネスモデルを築き上げたのか…」  と話す人もいます。やはり、経済の先行き不透明感が強いなかでは、業績がカギになります。では、オリエンタルランドは、未来の業績に繋がるような活動をしていており、それが、安心材料になっている可能性があります。

入場料とグッズ、ともに値上げに成功

 まずは、「客単価引き上げ」に成功。  東京ディズニーランドの入場料は2006年で5500円ですが、2022年には最大で9400円まで上昇しています。  この辺りは、日本企業も参考にしたい動きです。デフレマインドが染みついた日本では、値段の引き上げによる客離れを懸念して、長年値上げができない状態が続いています。しかし、オリエンタルランドは客単価上げに成功しました。  来場者数の推移を見てみると、東京ディズニーランドがオープンした年の来場者数は1,000万人でしたが、コロナ前には3,000万人を超える来場者数となりました。  2020年は756万人と休園と入場制限を余儀なくされ、コロナ前から約75%減です。しかし、最悪期は脱していることを考えれば、今後、来場者数が戻ってきた際に値上げのインパクトが業績に寄与してくることが予想できます。  また、オリエンタルランドは、グッズ商品や飲食関連の値上げにも成功しており、これらを含めて、1人あたりの売上高を上昇させています。  結果、1⼈当たり売上⾼は、1,752円増の14,877円です。  具体的にはチケット収⼊は、前期に時間指定パスポートを販売、⾼価格帯チケットを導⼊したことにより、入場料のベースアップに成功。  グッズはダッフィー関連商品や東京ディズニーシー20周年関連の商品が増加しています。飲⾷は、新メニューやフードスーベニアの好調により、こちらも一人あたり売上高単価の上昇に寄与しました。
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最大規模の新テーマポートに期待
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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