“こどおじ”化する40代既婚男性。妻や子どもを巻き込み一家崩壊寸前
成人しても実家暮らしを続け、幼少期から過ごしてきた子供部屋に居座る中高年男性「子供部屋おじさん」が注目を集めて久しい。今では略して「こどおじ」と呼ばれ、ネットやリアルで嘲笑の的にされている。
「夫の顔は1週間前の早朝、私がパートで出かける際に見たでしょうか……。リビングからドタバタと音が聞こえて、その後すぐ黒い影が光の速さで2階に登っていきました」
千葉県在住の看護師・諸岡早苗さん(仮名・40代)は、会社員の夫(40代)の実家で暮らしている。小学生の子供二人、それに夫の母親。五人家族だ。
結婚直後は、夫婦二人で都内の賃貸マンション暮らしだったが、義父が亡くなり、母親を一人にしてはおけないという夫の意向もあり、同居を決めたのだった。
しかしその時、諸岡さんは夫が「こどおじ」化するのを想像していなかったと嘆く。
「最初は、ほぼ10年ぶりに実家で生活できることを『懐かしい』と喜ぶ夫を見て、悩みつつもこれでよかったのだと言い聞かせました。しかし、どんどん自分の部屋から出てこなくなり、仕事から帰っても自室に直行、酒を飲みながらネットをしたりゲームをしたり。
食事は部屋の前に置いておき、翌朝私が片付ける。そしていつの間にか仕事に行っていて、またいつの間にか帰ってくる」(諸岡さん、以下同)
子供の運動会など学校行事にはかろうじて参加してくれるというが、コロナ禍で夫の行動はさらにエスカレートすることに。
「夫の仕事が完全リモートワークになってしまい、部屋からまったく出てこなくなってしまったのです。一度部屋をのぞいたら、テレビで見るようなゴミだらけの部屋になっていて、悪臭も漂っている。カーテンと雨戸は閉めっぱなしで日中でも真っ暗。本当に引きこもりになってしまったのだと悲しくなりました」
諸岡さんも、夫の行動をただ指を咥えて見ていたわけではない。コロナ禍前、夫の仕事は多忙を極めており、早朝に出社して帰宅はほぼ毎日午前様。酒もタバコもギャンブルもせず、そして女性関係でも疑わしい点はなかった。
もちろん、自堕落からそうなる人もいれば、就職氷河期ど真ん中の世代で、努力してもうまくいかなかったという人もいる。結婚の意思がなく、実家で両親や親族と暮らしたいという理由から、あえて子供部屋に住み続ける人もいるだろう。
巷間で取り沙汰されている「こどおじ」は、そのほとんどが未婚、単身男性ということになっているが、結婚後も「こどおじ」を続けている男性だって存在する。そして、その家族たちが大いに頭を悩まされている現実は、あまり取り上げられていないようだ。
実家の子供部屋で暮らす“既婚”の男性
コロナ禍のリモートワークで夫の「こどおじ」化が加速
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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