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なぜ、「親の批判」をできない人がモラハラ加害者になるのか?

「親を批判するなんて……」

モラハラ

写真はイメージです

 DV・モラハラ加害者が、愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。  僕自身もDV・モラハラ加害者です。そのせいでたくさんの人を傷つけ、仕事や家庭が破綻寸前になり、ようやく自身の加害行為、それを生み出す加害的な思考・価値観を自覚しました。現在は日々自分の言動を改善しながら、妻と関係を再構築させてもらっています。  この連載では、僕自身の経験や当事者会での気づきを共有していきます。職場や家庭でモラハラに苦しんでいる方々、無自覚に加害を行っている方々の参考になれば幸いです。  GADHAでは変わりたいと願う加害者のためのプログラムを毎月実施しています。プログラムではさまざまなホームワークに取り組むことになるのですが、そこで少なくない加害者が悩むのが「親にされて嫌だったこと」「どうして欲しかったのか」を書くホームワークです。  ホームワークを説明すると「いやー、全然思いつかないですね」「親は自分によくしてくれたと思っています」「それに、親を批判するなんてしたことがないというか……それはよくないことじゃないですか?」と言う人がいるのです。  僕はそれらを聞いて、いつも同じことを伝えます。「親の批判ができないなら、あなたは変わることができないだろう」と。一体なぜでしょうか?

「親不孝ものになりたくない人」が加害的になる

 完璧な人間はいません。ゆえに完璧な親もいません。誰もが不完全であり、時に人を傷つけてしまうことがあります。ですから「これをされて嫌だった」ということや「こうして欲しかった」ということがない親子関係などありえません。  それでもなお親を批判することができないと考えている人は「親を批判するなんてとんでもない!」と思っているのです。そして、まさにそれこそが加害的な思考だとGADHAでは考えます。  親を批判するのがとんでもないのは、「親には育ててもらった恩があるから」でしょう。「育ててもらった恩を忘れて批判するなんて、親不孝だし人間としてどうなんだ」と思うからです。  一見「いいこと」を言っているように見えますが、これは加害的な信念になります。なぜなら、「自分が養っている(と思っている)存在からの批判を絶対に受け取らない」からです。  (ここでは加害者を男性として考えますが)例えば専業主婦で働くパートナーの方、そして子どもからの批判を許しません。なぜならそれは「恩知らず」であって「失礼」で「人間として間違っている」行為だからです。
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親の加害性を受け継いで、上下関係にこだわる
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