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「大学の先輩にお金を貢いで」借金を背負い、大学を辞めるはめに…

バイト仲間の言葉に目が覚める

道路工事の夜間規制 K君はフリーターになり、Yに毎月払う36万円と借金返済のため、複数のバイトを掛け持ちしてくたくたになるまで働く日々が続いた。YはK君を大学退学に追い込んでおきながら自分自身は無事に大学を卒業。在学中に起こした会社は他人に譲渡し(本当に起業していたのかも疑わしいのだが)、一般企業に就職していた。  そんなある日、K君はコンビニのバイト仲間のT君に飲みに誘われた。 「このあと飲みに行こうよ」 「ごめん。お金がなくて……」 「お金がない? こんなにいっぱい働いてるのに?」 「いや、実は……」  T君にYとのこれまでのことをすべて話した。すると、彼は怒り心頭に発した様子でこう言った。 「なんて奴だ! なんでK君がそんなのを払う必要があるんだよ!」  その凄まじい剣幕にK君はハッと目が覚めるような思いだった。そうだ。そもそもどうしてYにお金を払い続ける必要があるのか。 「Yを訴えてちゃんとお金を取り返したほうがいいよ」 「うーん、でも、訴えるのはちょっと……」 「なんにしても、Yからはすぐに離れたほうがいい」 「うん、そうする」

Yからの逃走計画

 K君はYがアパートを留守にしている間に自分の荷物をすべて引き上げて逃げることにした。そしてその準備と計画のため、その日はYといっしょに住んでいるアパートに戻らずに友達のアパートに泊めさせてもらうことにした。が、その日のコンビニのバイトを終えて店の外に出たときだった。 「え、先輩? どうしてここに……」  そこでYが待ち構えていたのだ。 「おまえさあ、もしかして俺から逃げようとしてない?」 「いや、そんなわけないじゃないですか」  どうやらYはK君の逃走の気配を敏感に察知していたようである。 「あまり妙な考えは起こすなよ。おまえは俺に毎月36万円払う義務があるんだ。あのアパートだっておまえが住むところがないって言うから借りてやったんだからな。その恩を仇で返したりするなよ」  Yはそう言うと、K君の体を掴んで強引にアパートに連れ帰るのだった。  それからYはまるでストーカーのように毎日彼のバイト先に姿を現すようになった。が、これはバイト仲間や店長の協力のおかげでしばらくしてやめさせることができた。その後、K君はYがアパートにいない間に自分の荷物をすべて引き上げ、無事にYの魔の手から逃れることができたのである。
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助けたかっただけなのに…
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バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。

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