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90万円で買ったノーチラスは1900万円に。腕時計投資は転売行為なのか?

ロレックスマラソンという転売行為

 腕時計投資がプレステ5の転売と勘違いされる理由は、ロレックスマラソンと混同されているからでしょう。私は、著書にも書いたとおり、過去から現在までにかけて、ロレックスマラソンを推奨したことはなく、実施したことも一度もありません。  このロレックスマラソンは、入手困難状態の大人気モデルを定価で購入する、ということなのですが、いくつもの正規店をめぐり、買えるまで「デイトナありますか?」と店員さんに聞き廻るわけです。  ロレックスマラソンの場合、定価よりも高い価格帯で取引されているモデルを定価購入するわけですから、買った瞬間、「売れば利益が出る」という状態になります。  ですから、正規店で買って売るという行為は、まったくもって投資ではなく『仕入れ⇒売却』という事業。腕時計投資とは別モノであるわけです。

時計好きという目線でも腕時計の売却は当たり前

 クルマや腕時計といった高額商品は、残価が残るため、将来的に不要になったら「売る」ということができます。  たまに「本当の時計好きは売らない」とtwitter上でつぶやいている方を見かけますが、世の中に中古腕時計が数万点流通していることが証明する通り、時計好きだからといって「売らない」わけではありません。  実際、コレクター目線でも、いつしか所有本数が増えたとき、自分のコレクションボックスを見て「この時計使ってないな」ということに気づきます。そうして、次に欲しい時計が出てきたとき、「あれを売って買おう」という発想になるわけで、結局のところ、時計を愛しているという人でも「売る」という場面に出くわすわけです。10本ぐらい所有していれば、そのうち何%かが、結局不要となるのは当たり前だといえます。  だとするならば、腕時計は、将来的に売る可能性があるわけだから、買うときに資産性を考えて買ったほうが効率的に腕時計を楽しめる、ということになります。  実際、憧れていた時計でも、いざ手に入れて見ると「思ってたのと違う」という経験は、時計好きにとってはよくあること。その時、事前に資産性を考えていたならば、ダメージが軽減できることでしょう。  そういったことは、クルマでは当たり前であります。クルマを買うときに、魅力的だと思った候補の中から1台を選ぶ際、『リセール・バリュー』は1つの条件となることだと思います。  クルマには、残価設定型ローンがあるように、「売る」を前提で買うアイテムでありますが、腕時計もそれと同様。そして、クルマ以上に残価が残りやすいのが腕時計であるわけです。  ちなみに、買った瞬間、高く売ることができるようなランドクルーザーは転売防止策をディーラーが行っていますが、他の車は、将来的に売るという前提、つまり残価設定型ローンを利用したとしても、ランドクルーザーのような転売とはまったく別という認識であるわけです。
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90万円で買ったノーチラスは現在1900万円
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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