お金

成城石井の上場でコンビニ3位の親会社・ローソンが手に入れる意外なウマミ

「ローソンに高級弁当が加わる」説

 なぜ上場によって両者のシナジーが起きるといえるのでしょうか。  成城石井は高級志向で他のスーパーと一線を画しています。そのため、上場後は「まちかど厨房」をはじめとしたローソンの商品ラインナップに高級弁当が加わり、客単価アップが起き得るからです。  また、上場によって成城石井の収益が増える可能性が大きいです。この収益もローソンの変革にあてられるでしょう。 「上場益はセルフレジなど省力化の投資に使用されるかもしれません。このことによって人手不足対応とオーナーの収益を確保することにつながります」  つまり、成城の上場により、ローソンでは客単価アップに加え、コストダウンが図れるのでは?というのが渡辺氏の見方です。こういった変化は手作りにこだわった「まちかど厨房」の増加とウーバーイーツなどの自社の人件費が発生しない宅配ビジネスに力を入れるローソンの今の方針と辻褄も合います。

高級スーパー界で1位も見えてきた成城石井

 最後に今回の上場は成城石井単体で見てみましょう。こちらも渡辺氏の分析をご紹介します。 「成城石井は顧客が富裕層中心で出店エリアが大都市圏に限られているため、出店の余力が限られるという課題を抱えています。そのため今回の上場は、全国の高級スーパーを再編することで、高級スーパーの圧倒的NO.1の地位を確立することが真の狙いとなりそうです」  大きなニュースとなった成城石井の上場。いち消費者としてはローソン・成城石井の双方がより利用しやすい形へと変化していくのなら嬉しいですね。
馬渕磨理子

馬渕磨理子

<取材・文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
1
2
3
4
おすすめ記事
ハッシュタグ