日本中を笑顔にした上島竜兵氏の死去から考える「人前に出る仕事の難しさ」
文/椎名基樹
コロナ禍において多くの芸能人が自ら命を断ったという報道があった。どんな心理状態だったのだろう。それぞれ違った理由や心理状態があったとは思う。しかし、人前に出る立場同士に共通する、悩みや心理状態があったはずである。彼らの死去の理由の中に、人間が元来抱える病理が表れているような気がして、彼らが自ら命を断った理由を考えてしまう。
コロナ禍の最初に起こった若い俳優の訃報に対して、ある俳優が「落ちぶれた姿を見せる前に、消えてしまいたいと思うのは非常に理解できる」と言っていて、それが私にとって1番納得がいった見解だった。しかしそれで全て納得できたわけではない。それだけの理由で、自ら命を絶つなんて恐ろしいことができるだろうか。
日本中を哀しみに包んだ上島竜兵氏の訃報
これほどショックな訃報は今までなかった。聞いた瞬間に涙が出た。有名人が亡くなって、今まで涙が出るような事はなかったから、自分自身に驚いた。上島竜兵に対して自分が大変な親しみを覚えていたことに気づく。 ダチョウ倶楽部の芸風は、底抜けにばかばかしい。理屈を語らず、文化人ぶらず、社会を切らず、お笑い芸人に徹することができた数少ないグループだと思う。そんな彼らの朗らかさを考えると、今回の訃報とは対極で、それが余計に痛ましい。 1日中竜ちゃんのことばかり考えてしまった。亡くなった真相などわかるはずがないのも知っていながら、疑問を少しでも解消したくて、上島竜兵に関するネットニュースを数時間おきにチェックした。
コロナ禍で増えた有名人の訃報
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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