ザコシ、安村…「裸芸人」の元祖は誰? レジェンド裸芸人を振り返る
文/椎名基樹
♪もうすぐ春ですね。重いコート脱いで出かけませんか? ということで、衣替えの季節である。これからどんどんと薄着になっていくことを祝して、今や日本のテレビ界では欠かせない「裸芸人」を考察してみたい。こじつけ~!
世界の中でも地上波放送で、パンツ一丁の男がこれほど多く登場する国は日本しかないのではないだろうか。しかもドラマなどフィクションの空間ではなく、バラエティー番組で裸のまま、何の違和感もなくトークをしているような状況は、外国人から見たら非常に変に映るかもしれない。
裸芸人の元祖と言われているのが、たけし軍団の井手らっきょである。彼の裸芸が最も躍動した番組が、1983年から1999年にかけて放送された「スーパーJOCKEY」(日本テレビ系)である。「熱湯コマーシャル」でお馴染みのこの番組は、「身体を張る」ことを笑いの基本としていた、たけし軍団のいわば“フラッグシップ番組”であった。この番組で、ディレクターの「バカGO」のカンペを合図に、井手らっきょは全裸で登場し、女性ゲストらの悲鳴を獲得していた(笑)。今なら完全にコンプライアンスアウトである。
ビートたけしの笑いの基本は、タブーに近づきギリギリのところで回避する曲芸である。裸は最も安易にタブーを提示することができる。ビートたけしの番組に裸芸人が登場するのは当然なのかもしれない。井手らっきょは、「下半身で笑いをとってもOK」と世間に認知させた。タブーや権威を否定し、笑いのコロンブスの卵を立てたところに、井手らっきょの偉大さがある。
パンツ一丁の男たちがテレビに出ている不思議
元祖裸芸人・井手らっきょの偉大さ
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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