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「新しい資本主義」とは結局何なのか?自民党の討議資料から考える/倉山満

経済安全保障は新しい資本主義に限った政策ではない

 では、普通の安全保障は取り上げられていないのに、なぜ経済安全保障だけが特筆大書して取り上げられるのか。  そもそも、経済安全保障とは、中国から機微技術を守るための政策ではなかったのか。アメリカでも重視されているが、中国も重視している。資本主義だろうが、共産主義だろうが、新しい資本主義だろうが、どのような主義の下であっても重要な政策なはずであって、新しい資本主義にだけ特有の政策ではない。  そして、AIやグリーンなど投資すべき分野がずらりと並んでいるが、要するに選挙前のバラマキのカタログを列挙しているだけだ。

政治と行政の区別がつかない「自民党病」

 これは「自民党病」と名付けても良いのだが、政治と行政の区別がついていない。  最高レベルの政治とは、国家をどうするかだ。今で言えば、「いつまでも敗戦国のままでいるのか、それとも大国に戻るのか」だ。その下位概念として、「民の活力を強めるのか、政府が民間を保護(=支配)するのか」の主義が定められ、具体的な政策が付随してくる。  こんなことは、少なくとも中国共産党ではありえない。徹底的に国家の方向性と理念を確認、議論による厳密な定義の上で、検証を繰り返している。  中国に負けっぱなしでいいのか?
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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