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岸田外交の3つの問題点。軍事抜きの外交など無力だ/倉山満

岸田外交をそこまで持ち上げていいのか

 岸田首相の褒めるべき点は、二つ。一つは、何もやらないことで、支持率を下げないどころか、高支持率なこと。もう一つはマスコミを手なずけていることだ。リベラル色が強いと見られているので朝日が、既得権益の利益代表だと見られているので読売が、岸田内閣支持の論陣だ。  同じことを安倍晋三元首相がやれば反発するだろうが、岸田首相ならば許される傾向がある。

5月24日、日米豪印「クアッド」首脳会合に臨む(左から)オーストラリアのアルバニージー首相、バイデン米大統領、岸田文雄首相、インドのモディ首相 写真/産経新聞社

 今回、アメリカのバイデン大統領が来日。多くの外交日程をこなした。マスコミは、かなりの大歓迎だ。しかし、そこまで持ち上げていいものだろうか?  そらあ、立憲民主党の姿を見れば、岸田自民党の方がマシに見える。重要な政策では、「さっさと金融緩和をやめろ!」「防衛費増額などふざけるな!」である。日本人が不景気にあえぎ、近隣諸国の脅威に怯えながら生きて行けと主張する野党第一党には消えてもらいたい。いっそ参議院選挙の前に消えてもらいたいが、この党は「参議院選挙の後はどうなっても知りませんよ」と、選挙までは何が何でも野党第一党の座を離さないつもりだ。間違え方まで間違えている。  ポンコツ野党のおかげで岸田内閣は高支持率、夏の参議院選挙は大勝間違いなしと言われている。ならば、いくら批判しても構わない。ただし、建設的な批判を心がけよう。

岸田外交の3つの問題点

 岸田外交の問題点は、三つ。今が戦時だとの自覚が無い。軍事抜きの外交など無力だと認識していない。戦時には乱暴でも政治力が必要なのであって、丁寧な行政論など破壊工作に他ならないと理解できていない。  本欄で何度も繰り返しているが、ウクライナ事変において、日本は中立国ではない。少なくともロシアからは非友好国と認定されている。つまり、ウクライナと同様の敵国扱いだ。大多数の国民は、ロシアや周辺諸国の脅威に備えねばならないとわかってくれている。戦後の防衛政策を根底から見直すのは、今しかない。この機を逃すと、熱は冷める。  この状況で軍事抜きの外交など敵を怒らすだけで、有害無益だ。そして、防衛力を増強しなければならない根拠を丁寧に立証しようとしたら、査定の段階で潰されるに決まっている。政治が大枠を決めて、細かいことなど後回しにしないと決まらない。
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バイデン大統領との約束を果たせるかは財務省の匙加減次第
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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