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「飛行機の機内食」製造現場を訪問。ファーストとエコノミーのコスト差は

機内食の味は機内食会社で決まる

世界一の巨大旅客機エアバスA380に機内食を搭載するゲートグルメの搭載車(写真:ゲートグルメ提供)

 コロナ感染状況も一段落で、そろそろ海外旅行へ行こうと考えている人も多いのではないだろうか。航空機で海外渡航するのに、どのエアラインの機内食が美味しいかと話題になることが多い。  しかし、実際はエアラインが製造している訳ではない。エアラインから受注を受けた機内食会社が製造している。今回は、作る側の視点で機内食をご紹介してみよう。エアラインを印象付ける大きな要素となる機内食製造の現場を機内食会社への取材で明らかにした。

機内食会社は多くない

 機内食製造会社は、日本ではANA系のANAケータリング、JAL系のJALロイヤルケータリング、独立系ではコスモ企業、TFKやゲートグルメがある。各社が日本に乗り入れる外資系エアラインの受注を競っており、それぞれに特徴があって品質の向上を目指している。各社、それぞれ空港のすぐそばに製造現場の工場とオフィスを構えていることは共通だ。工場で機内食を調理し、フードローダーと言われる可動式のトラックで空港中に入り、機体に張り付いて、搭載する。  搭乗待合室で航空機を眺めていると、機体の側面に機内食会社の名前を冠したトラックのあることを見ることができる。この搭載箇所となる飛行機のドアは、エアラインによって異なる。機内ではギャレーと言われる調理場に近いドアから搬入するからだ。

航空機に機内食を搭載するゲートグルメの搭載車(写真:ゲートグルメ提供)

 ギャレーの位置は、各エアラインでファースト、ビジネス、エコノミーと席数によって位置が異なるので、標準というものが少ない。トラックからは、各クラスに分けられたフード搭載カートが取り下ろされて機内に搬入されていく。一つのカートには複数の機内食がセットされており、搭載数や内容が機内食会社と客室乗務員の間で確認されていく。  基本的に、機内食工場で保冷し、機内で常温または加熱して食べることのできる状態になって搬入されることが多いが例外がある。それは、ビジネスクラスやファーストクラスのコース料理などになると、客室乗務員が機内のギャレーで盛り付けしてお客様にサービスされるということだ。  その盛り付け方や加熱方法の指示は書類なのだが、最近ではデータ化されたものが客室乗務員の持つタブレットに流れることにより、客室乗務員はフライト中に盛り付け例の写真を見ながら作業を進めていくことになる。
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機内食製造の現場
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