性格ではなく能力の問題
上記の通り、自分のニーズを自覚し、人に伝え、ケアを依頼することができない人が赤ちゃんだとするなら、まさに
加害的な人とは赤ちゃんのようなケア能力しかないということです。
このケア能力は養育者との関わりで身につけていく部分があるわけですが、まさにパートナーは「母親じゃない」ので、対等だと認識している大人のパートナーに、ケア能力の育成という大変なことまでやらなきゃいけないとは思えないわけです。
ですから、少なくないモラハラ・DV加害者の方々が「私はあなたの母親じゃない」とパートナーから言われる時、言われていることの本質は以下です。
「ちゃんと自分を、他人を、ケアできる能力を身につけてほしい」
「その能力発達の責任を、大人であるあなたに対して、私は持っていない」
ケアする能力を身につけるためには、ニーズを自覚する能力も必要になります。でもそれは、大人になってしまえば、普通はもう誰にも協力してもらえないものです。
ただし、それを学べる場所はあります。これは自分の性格だから変えられないなどと諦める必要はありません。これは
性格ではなく能力の問題だからです。
今回のケースでは男性が加害者でしたが、上記のように考えてみると、
性別に関わらず生じる問題です。男女を問わず、関心のある方はぜひハラスメントやDVなどの加害者向けのプログラムなどをご覧になってみてください。きっと、役に立つ情報がたくさんそこにあるはずです。
<被害者かもしれないあなたへ>
「なんで私がこんなに相手の機嫌を取らなきゃいけないんだろう」「相手の機嫌を先回りして対応することばかりなんだろう」と思うことが多いあなたは、モラハラやDVの被害者である可能性があります。パートナーシップとは、相互に気遣いあう関係であり、
どちらかだけが献身的に関わる関係は不健全であったり、ご自身を犠牲にしての関係になってしまっているかもしれません。
<加害者かもしれないあなたへ>
もしも今回のケースのように「こんなこと言わなくてもわかるだろう」「どうして当然やるべきことをしないのか」と考え、かつ、それを説明せずに
勝手に期待し、失望と共に怒りを覚えることが多い場合、あなたはモラハラ・DV加害をしている可能性があります。その関係はいずれ破綻し、孤独になる可能性もあります。自分と、関わる人両方が幸せな関係を持ちたいならば、身につけたほうが良い能力や知識があります。ぜひ色々調べてみましょう!
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「
GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:
えいなか