仕事

上司と部下の板挟み…中間管理職が「絶対にやってはいけない」立ち回りとは

中間管理職は悩みが尽きない

 続けて、やってはいけない立ち振る舞いを聞いた。 「良い人ぶって上と下の防波堤になってしまうことです。“部下を守って目標が達成できない”では組織で通用しません。中間管理職であれば、上司と部下の橋渡しとが求められます。『上の言っていることもわかるけど、下の言い分もわかる』という板挟みになった時、安易にどちらかの立ち位置によってしまうと余計に状況が悪くなります。  また、“下に優しく振る舞う”というのは良い人に見られますが、上が言ったことの意図を汲み取ったうえで調整しなければ、“管理ができない人”と評価されかねません。    実際、ある中小企業の課長さんは、とても部下から好かれて人望も厚い人でしたが、2年連続で大赤字を出し、結果を出せなかった責任を問われて左遷されました。会社を辞職した後も後輩からは慕われていますが、言うべきことを言えず抱え込んでしまったようです。後輩に耳障りの良いことばかりを言うのではなく、注意や指導しなければならない時には、嫌われ役を果たさないといけません」 “上に厳しく下に優しく”だけではどうにもならないケースは珍しくなく、中間管理職が心掛けなければいけないことの多さに驚かされる。平田氏も同様の感想を抱いているようで、「難しい舵取りを求められるため、中間管理職になりたくない人が増えるのも納得ですね」と口にした。  

求められる距離感

 誰しも「後輩から尊敬されたい」という感情は持っているはずだ。しかし、中間管理職となった場合は、後輩に優しく振る舞うことのリスクが少なくないことがわかった。  平田氏は職場における距離感について、「仕事をするという目的で集まった人間関係ですから、友達でも家族でもありません。心を許しあえる人間関係が求められているわけでもないため、割り切ることも必要です」と提案。 「プライベートまで持ち込んで悩んでしまうようであれば、『所詮は仕事の関係』と切り捨てることも大切です。もちろん、仕事を通じて尊敬できる上司や後輩に会えたらラッキーです。しかし、上司は上司の視点から時に無理難題を言いますし、後輩は後輩の立場から甘えたり愚痴ったりしてくるかもしれません。それでは自分のメンタルが持ちませんよね。  一方、組織にいることで技術が身についたり、人間関係が広がったり、経験を積んだりと、多くの財産を自分の中に蓄積することができます。その恩恵を受けつつも、嫌な上司や苦手な部下とも『一緒に仕事をする』という目的を見失わない程度のスタンスで人間関係を構築することがとても重要です。飯尾さんのように『〇〇の人とは距離を取ろう』の〇〇にそれぞれ言葉を当てはめることで、バランスを取りながら仕事に取り組むのが良いのではないでしょうか」  立場に関係なく仕事の人間関係に悩むビジネスパーソンはとても多い。ただ、それでも中間管理職は想像を絶するほどのコミュニケーションの悩みを抱えている可能性が高いため、まずは自分が苦手な「○○な人」を探してみると良いのかもしれない。 文/望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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