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スマートパチスロのデビュー日が決定。業界関係者たちの“消えない不満”とは

一定の出玉数で強制終了となる「コンプリート機能」

 それが「コンプリート機能」と言われるものだ。コンプリート機能とは、パチンコであれば95000玉、パチスロであれば19000枚、一日の出玉があった場合、強制的に遊技が終了される機能である。(※当日の営業終了時にリセットされる)  これは、かつて警察庁が「高射幸性遊技機」の基準として定めたパチンコ10万玉、パチスロ2万枚(換金時40万円相当)の出玉は絶対に超えないための機能であり、この出玉の天井を定めることで、逆にその範囲内での出玉性能の緩和を勝ち取ったと言えるであろう。  業界関係者やファンにとっては期待感だけが募るスマート遊技機の登場であるが、実は、業界関係者たちが露骨に不満を表している問題がある。それはズバリ「台数」の問題だ。  既出の日電協の発表によれば、11月21日から登場するスマートスロットの台数は約7万台とのこと。全国にはパチンコ店が約7000店舗あり、おおよそ350万台の遊技機が設置されていると言われるなか「7万台」という数字は、総設置台数の2%に過ぎない。

全国のホールに行き渡るのは難しい?

 これは世界的な半導体不足と、原材料高騰による資材調達が困難な状況が引き起こしたものであるが、業界関係者によれば、実際に来春のスマートパチンコ登場のタイミングでも、スマート遊技機全体の台数は15万台~20万台程度であろうと想定されているそう。  都内某ホールの店長は言う。 「スマート遊技機で期待感を煽っても、結局大手ホール企業だけが取り合って、全国のホールに行きわたることはほぼ無いでしょう。ただでさえ業界内の格差が広がっていくなかで、スマート遊技機はそのトドメになるかも知れません」  スマート遊技機の導入には、遊技機本体のほかに専用のユニットも必要であり、ホール側の設備投資が更に嵩むことになる。中小零細規模のホールには、買いたくても、高くて買えない、物がなくて買えない、という現実が突き付けられている。  パチンコのイノベーションと言われている「スマート遊技機」である。が、業界の前途は多難だ。 文/安達夕
フリーライター twitter:@yuu_adachi
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