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10年間で築いた自信、友情とは一味違う一体感が生み出す「i☆Ris」の魅力

モスバーガーでガン泣きしながら書いた手紙

――手紙を書く際に考えたことを教えてください。
芹澤優

芹澤優

芹澤:私は普段から頭で考えるより、感情のままで行きたい派なんです。ライブのMCでも事前に決めないでその場の感情で伝えたいと思っていて。  だから手紙を書くときも、ちゃんと気持ちを高めたいんですけど、普段の生活だとライブ中と比べたら思いが高まってないじゃないですか。だから、「Thank you forever!」って曲を聴き込んで、手紙を書くことにしました。  締め切りのタイミングで仕事が詰まってたので、仕事の合間、初めて行った駅のモスバーガーで手紙を書いて。でも10年分の思いを書くのに「次の現場までどうしよっかな〜」ってノリで書けないから、「Thank you forever!」を聞いてガン泣きしながら書きました(笑)。モスバーガーでひとり、様子のおかしい感じだったと思います。

大きな悩みを打ち明けてくれることがうれしい

――逆にファンからもらった手紙のなかで、印象に残っているものはありますか? 芹澤:本当にたくさんのなかで特に印象に残っているのは、ある女の子からの手紙。特典会では明るく話してくれてた子が、手紙で信じられないような辛いことを書いてくれて。  その子と話せる時間はほんの短い時間だから、すごくもどかしい気持ちでいっぱいでした。もっと1対1で、「がんばれ、大丈夫だよ」って伝えてあげたいのに、できない。  でも私のことを、誰にも言えない悩みを打ち明けられる存在だと思ってくれることがすごくうれしいので、その気持ちをライブや特典会でなんとか届けたいと思って、活動を続けてきました。  重い悩みをファンレターで打ち明けてくれる人、たくさんいらっしゃるんです。手紙をくれるのは本当にうれしいから、これまでもらったの、全部保管してます。水色の封筒が多いので、いつか全部並べて床に敷き詰めて、そこに埋もれて写真を撮ってみたいって思ってます(笑)。

「会場全体がうわ〜って盛り上がったのを肌で感じた」

――i☆Risにとって転機となったのどの楽曲だと思いますか? 芹澤:やっぱり「ドリームパレード」じゃないかな。『プリパラ』2ndシーズンのオープニング曲。信じられないくらいたくさんの人が1stシーズンを見てくれて、そのあとの最初のオープニングだから、作品の影響力をすごく感じましたね。  フェスでこの曲を歌うとすっごく盛り上がったんですよ。本当にびっくりしました。信じられないって感じ。作品を見てくれてる人は楽しんでくれるだろうとは思ってたけど、フェスの会場全体がうわ〜ってテンションが上がったのを肌で感じて。  正直、それまでのi☆Risってフェスに合う楽曲を持っていないグループだったから(笑)。いまなら「アルティメット☆MAGIC」とかもあるけど、自分たちのファン以外も盛り上げられる初めての曲が、「ドリームパレード」だった気がします。 ――『プリパラ』のテーマ曲は物語に連動している歌詞がアツいので、リアルタイムで見ていた人たちはさらに盛り上がったでしょうね。初めてi☆Risのメンバー全員が一緒に歌った劇中歌の「Realize!」が、のちにオープニング曲になる流れなども含めて。 芹澤:そうですね。「Realize!」は最初、劇中で流れたんですよね。たしかクリスマスライブで……。 ――みんながプリパラを禁止されるも、2つのチームに分かれていたメンバーが初めて団結して『Realize!』を歌うという流れでした。 芹澤:懐かしいですね〜(笑)。自分が見てもおもしろいと思ったし、たくさんの人を夢中にさせた作品なんだってあらためて感じます。

「自分が目立つことよりもファンのみなさんの思いが嬉しい」

――続いて、ご自身にとって転機となった曲を教えてください。 芹澤:「§Rainbow(セクション・レインボー)」ですね。『プリパラ』が放送される前の『プリティーシリーズ』の作品、『プリティーリズム・レインボーライブ』のエンディングテーマです。  私はこの作品に声優として出演していたので、今思うと「私がセンターでしょ?」ってイヤなヤツだなって感じのテンションでした(笑)。  でもライブで披露するうちに、いつからかBメロで私の名前を叫ぶコールを入れてくれるようになったんです。怖いくらいに「ゆうちゃん!」って繰り返して叫んでくれる。この曲だけは、他のメンバーを推している人も、みんな私のイメージカラーの青いサイリウムを振ってくれる。  それが浸透してきたころから、自分にとってすごく大切な曲になっていきました。自分が目立つのがうれしいというよりは、ファンのみなさんがこの曲に込めてくれる思いがうれしい。そんなふうに少し考え方が変わっていくきっかけになりました。  そういえば、コロナ禍以降にライブを見てくれるようになった人たちは、コールを聞いたことがないですよね? お祭りみたいに声を出して気持ちを上げていこうって人が多いから、活気がすごいんです。またあのコール、聞きたいなあ。静かに聞きたい人はびっくりするだろうけど(笑)。

酸いも甘いも一緒に乗り越えてきた、友情とは一味違う一体感

――10年経ったいま、改めて感じるi☆Risの魅力とは? i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~芹澤:それぞれが自分の特技を活かして活動をしつつ、定期的にグループとして集まる。それって作品をベースに集まる声優のユニットだと意外と難しいと思うんです。  でもi☆Risは、過酷な合宿から始まって、酸いも甘いも…じゃないですけど、いろいろなことを乗り越えてきた、友情とは一味違う一体感がある。  いつもはどんなにバラバラでも、ライブ中はメンバーのことがいちばん大好きです(笑)。  ただ仲良しなわけじゃなくて、10年間やってきたからこそ、その過ごしてきた時間の濃さがステージに出るはず。10年一緒にやってきたからこそ、揺るがないものがある。これは自信を持って言えることだと思います。 【芹澤 優プロフィール】 ’94年、東京都生まれ。ソロアーティストとしてのファーストフルアルバム『YOUr No.1』が発売中。3度目のソロツアー「Yu Serizawa 3rd Live Tour 2022 YOUr No.1」の千秋楽を12月24日にZepp Divercity TOKYOで予定している。推しは「自分の理想のアイドル像をやり続けたい、私が推すアイドルは私でありたい、と思っているので、i☆Risに入ってから、ずっと芹澤優推しです」
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山北早紀「みんなずっと変わらないのは、負けず嫌いなところ。中途半端に終わりたくない、まだ売れたいってみんな思ってるはず」
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