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10年間で築いた自信、友情とは一味違う一体感が生み出す「i☆Ris」の魅力

感謝の気持ちだけじゃ逆に薄っぺらい気がした

――手紙を書くときに、意識したことはありますか?
若井友希

若井友希

若井:いつも応援してくれて本当に感謝してる……って気持ちでいっぱいだけど、きれいごとだけ書くのは違うかなと思って。それだけ書くと逆に薄っぺらい気がしたんです。  自分では正解だと思ってやったことに対して「もっとこうしたほうがいいと思う」って言ってくる人たちもいました。実際にいま振り返ればそのとおりだと思うことはたくさんあるけど、当時はすんなり受け止めることはできなかった。  すれ違ってたな…って思うことはたくさんあります。私たちもファンのみんなも、正直、きれいなものだけで埋め尽くされた10年じゃなかったはずだから、「こんなことが嫌だった」って怒ってるわけじゃなくて、「こんなこともあったよね(笑)」って感じで、飾らないままで書こうと思ったんです。  それが2番Aメロの〈すれ違ったこと〉って言葉にぎゅっと凝縮されてると思います。

丁寧な手紙も急いで書いた手紙もすべてが嬉しい

――ファンとのコミュニケーションのなかで印象に残っていることは? 若井:部屋の整理をしたときやイベントの帰り、ふとした瞬間に、もらったお手紙を家で読んでいつも感動してます。直筆だと温かみがこもってる感じがあるし、みんなが見てるSNSとは違って、私にしか見られないからこそ、本当に言いたいことを書いてくれてるから。 「いかに若井友希に救われてるか」みたいなことを書いてくれる人もいて、自分って人に元気を与えることができるんだって、本当に感動します。  特典会でも、直接思いを伝えてくれる人もいてすごくありがたいです。手紙と特典会は、いつも本当に心がじわ〜って暖かくなりますね。  そもそも、わざわざ便箋とペンを買って、手紙を書いて出そうと思ってくれること自体、相当好きでいてくれてる証拠じゃないですか(笑)。下書きして清書してくれてるのも、間違って傍線で消してるのも、急いで書いたんだろうなってわかる感じも、すべてが嬉しいです。

うまくいかない時期もずっと見守ってくれてる

――最近はソロの活動も順調で、一緒に喜んでくれる人も多いと思います。 若井:本当にありがたいですね。10年もやってるのに、当時からずっと応援してくれてる人もいて。うまくいかない時期も知ってくれてるから、そういう人たちが喜んでくれるのは特にうれしいかも。なんなら親よりもずっと見守ってくれてると思う(笑)。  10年も経てば生活環境も変わって、好きな音楽のジャンルも変わるはずなのに、ブレずに応援してくれてるのって本当にありがたいけど、本当に不思議。それだけ一途に応援できるって、人を愛する才能がある人たちなんじゃないかなって思います。

「うわ、i☆Risが売れた……!」と感じた瞬間

――続いて、グループにとって転機になったと感じる曲はありますか? 若井:i☆Risにとっての転機は「Make it!」一択じゃないかな。もう、転機でしかない。
 この曲のリリース前後に出たフェスでミルキィホームズさんたちと同じステージに立ったとき、すごい盛り上がったんですよ。「うわ、i☆Risが売れた……!」って感じた瞬間でした。え、みんな違う曲を挙げてるんですか? すごく王道な答えを言ったつもりだけど、みんな違うんだ。おもしろいですね。

個性をどんどん見せられるようになったきっかけの曲

――ではご自身にとって転機となった曲は? i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~若井:自分にとっての転機は「幻想曲WONDERLAND」です。この曲が、私の個性を見出してくれたといっても過言じゃないと思ってます。  当時はみんなで1日中レコーディングしてたんですけど、他の子が歌ってるときに私がソファで座ってたら、作曲を担当された永井ルイさんから急に「フェイクをやってくれない?」って呼ばれて。  曲の最後の部分のフェイク、その場で呼ばれて、その場で急に録音したんですよ。ここを任せてもらえたことが、私の強みである歌、個性をどんどん見せられるようになっていくきっかけになったと思います。  たしかそのときは、スタジオに私とみゆたん(久保田未夢)しかいなかったと思うんです。残ってたから呼ばれたのかもしれないし、いろいろな偶然が重なって。

ずっと憧れてきた人との合同ライブ

若井:今年は初めてソロツアーもできて、12月にはずっと憧れてきた元AAAの伊藤千晃さんとのジョイントライブをすることも決まってます。これも、歌を頑張り続けてきたからこそで、もとを辿れば「幻想曲WONDERLAND」のフェイクがきっかなのかもしれない……と、いま思いました。  ずっと憧れてたから、好きだってバレたら二度と会ってもらえないかと思って、ずっと隠してたんですよ(笑)。昔、同じスタジオでレコーディングしてたことがあったんですけど、気が気じゃなかったのを覚えてます。当時挨拶してたらただのファン扱いされて引かれてただろうから、我慢してよかったです(笑)。 ――最後に、いまのi☆Risはどんなグループだと思いますか?  10年やってきて、みんな垢抜けましたよね。みんないまがいちばんかわいい! なので、いまのi☆Risは、かわいい声優アイドルグループだと思います。 【若井友希プロフィール】 ’95年、岐阜県生まれ。特技はピアノ弾き語りと作詞作曲。12月14~25日に横浜赤レンガ倉庫にて開催される「冬の音楽の祭典 エアトリpresents 毎日がクリスマス2022」の17日昼公演にて、伊藤千晃と友希のジョイントライブが決定。推しはもちろん「伊藤千晃さんです!」 【i☆Risプロフィール】 i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~‘12年7月、エイベックスと声優事務所81プロデュースがタッグを組んで開催した「アニソン・ヴォーカルオーディション」の合格者6名で結成。同年の11月にデビュー。’14年からテレビアニメ『プリパラ』でメンバー全員が声優としてメインキャラクターを演じ、主題歌も担当する。結成4年目の2016年、日本武道館でライブを成功させた。’21年3月にメンバーの澁谷梓希が卒業し、4月からは5人での活動を開始。デビュー10周年記念日である11月7日に、i☆Ris初のベストアルバム『10th Anniversary Best Album ~Best i☆Rist~』を発売
10th Anniversary Best Album ~Best i☆Rist~

『10th Anniversary Best Album ~Best i☆Rist~』

<取材・文/森ユースケ 撮影/尾藤能暢>
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