更新日:2022年12月17日 20:53
ライフ

10代から脱毛症に悩んだ女性が人生激変したワケ。コンプレックスを武器に―2022年トップ10

抜けたと思ったら生えてきて、また抜ける

専門学校時代

専門学校時代のハゲカノさん(提供写真)

 ウィッグを着用する生活に馴染んでいく一方で、脱毛症は改善されなかった。塗り薬やステロイドなどの飲み薬を試してみたが、抜本的な治療方法が見つからないまま時間が過ぎていく。そして、彼女は“覚悟”する。 「近所の皮膚科から遠くの大学病院まで行きましたが、あんまり期待しないことにしました。繰り返すんですよね。ぜんぶ抜けたと思ったら生えてきて、また抜ける。希望の光を見せておきながら、抜けるんかいって(笑)。  高校卒業後、専門学校に進んでからも治療は続けていたのですが、2回目ぐらいで覚悟するようになりましたね。“もう治らないかもしれない”って。それにすがっていると、再び治療が失敗したとき、いっきに崩れてしまうから」

人前は苦手だけど「画面の中」ならば自分が出せる

ライブ配信中

17LIVEで配信中の画面(提供写真)

 引っ込み思案な性格だった彼女に、変わるきっかけが訪れる。 「専門学校の友人がテレビでライブ配信アプリ『17LIVE』(ワンセブンライブ/イチナナ )の特集を見て、なぜか私に『やってみなよ』と言ってきたんです。アプリをダウンロードして、最初はリスナーとして眺めていたのですが、画面越しなのにその場にみんながいるような感じで。  とくにイベントでのライバー(ライブ配信者)とリスナーの一体感に圧倒されました。すごく楽しそうだな、私もライバーとして活動してみたい……と思ったのですが、まずは目の前に迫った国家試験に合格しないといけなくて」  現実では人前に出るなんて考えられなかったが、自宅で「画面の中」ならば自分が出せると思った。無事に試験を終えた春休み、“つる”という名前でイチナナライバーとして本格的に活動をスタートさせた。約5年前(2017年)のことだ。 「あえて他人に言うわけではないのですが、そういう世界に少し興味があったんです。実際にやってみると、“私と相性が良いな”と実感して、どんどんのめり込んでいきました」
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抱えた葛藤「いつか本当のことを言わないといけない」
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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