初対面で「触らせろ!」元スナック嬢が明かす、“迷惑客”が常連の“良いお客様”に変わった瞬間
“迷惑客”が社会問題となっている。店やスタッフに対して暴言を吐いたり理不尽な要求をしたりして困らせるものだが、夜の世界においては、一見すると迷惑客が常連の“良いお客様”に変わる可能性が高いという。
福永早苗さん(仮名・30代)は水商売を卒業した最近まで、さまざまな職種を経験したそうだが、スナックに勤めていた頃に出会った「一癖も二癖もあるけど憎めない客」とは?
福永さんが夜の世界に足を踏み入れ、スナックで働くようになったのは大学生の頃。生活費を稼ぐためにカラオケ店、居酒屋、ティッシュ配りのアルバイトを掛け持ちしていた。そんなとき、居酒屋のアルバイトが終わって外に出ると、先ほどまで店で飲んでいた“峰不二子”のような女性とスーツ姿の男性から声を掛けられたのだ。
手渡された名刺に目をやると、どうやらスナックのママとボーイらしい。
「あなたは絶対に売れるから、うちにきてほしい。お給料もしっかり出しますよ」
その条件が魅力的で翌月からスナック1本で働くことになったのだ。店はカウンターが8席、ボックスが7席で女のコは12人程度が在籍していた。客層は30代から90代まで幅広い。しかしながら、スナックでの仕事は想像以上に大変だったという——。
福永さんはアルバイト初日でいきなり洗礼を浴びた。
「まず難しかったのが、お客様が“無口”のケースです。50代で眼鏡をかけたスーツ姿のお客様は、基本的に何を質問しても『……』という感じで、YES・NOの返事くらいしかしてくれません。
私はその日の出来事や思っていることなどを一生懸命に話し、たまに“間”を入れたりしながら、なんとか2時間を過ごしましたが、お客様は『帰る』と一言を残して去っていきました」
ママからは「よく頑張ったね」と慰められたが、福永さんは「もう2度と来てくれないかもしれない」と落ち込んだ。
だが、そんな無口な客が、翌日も来店したのだ。その後、彼は“常連客”として福永さんがスナックを卒業するまで店に通い続けた。次第に笑顔や会話が増えていき、最後の日にはnavy&ivoryの「指輪」という曲を透明感のある声で歌ってくれたという。
大学時代、スナックのママからスカウトされて…

※写真はイメージです。以下同
何を質問しても反応ナシの“無口”な客
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌や書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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