更新日:2023年03月22日 14:23
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朝ドラの聖地も消滅…3月末で運行終了するJR留萌本線の廃止区間を巡ってみた

⑦留萌駅

留萌駅

かつてはターミナル駅だった留萌駅

 留萌本線の終着、留萌駅(北海道留萌市)は、道内を14区分した振興局のひとつ「留萌振興局」の中核都市。かつては札幌や旭川と急行が行き来し、羽幌線や天塩炭砿鉄道、留萠鉄道が乗り入れる道内でも有数のターミナル駅、貨物駅として賑わっていた。  大きな駅舎はその名残だろう。構内のギャラリースペースでは昔の沿線の様子が写真で紹介され、ほかにも記念撮影コーナーも用意されていた。  さらに待合室には沿線ではここだけの立ち食いそば屋がある。この店は創業100年以上の老舗で、にしんの甘露煮を乗せた絶品「にしんそば」(650円)は鉄道ファン以外にもこれを目当てにわざわざ足を運ぶ人もいるほど。しかし、同店も駅の廃止に合わせて3月末での閉店が確定。横浜から訪れた60代の男性は、「20代のころ、北海道を鉄道旅行した際に食べた思い出の味。最後にまた来ることができてよかった」としみじみと語る。  北海道では黒い麺で人気だった音威子府駅の『常盤軒』も21年に閉店し、今や道内の駅そば店は絶滅危惧種。貴重な駅グルメがこうして姿を消すのは残念な限りだ。

【番外編】浜田浦駅

浜田浦駅

まさにザ・秘境駅。これでは廃止になっても仕方ない?

 留萌本線ではないが、3月18日からのダイヤ改正に伴い廃止となったJR日高本線の浜田浦駅(北海道むかわ町)にもついでに訪問。駅は海岸線から600メートルほど入った場所にあるが海チカという印象はまったくなく、どこか原野のような荒涼とした風景が広がっている。  周辺には少し離れたところに工場があるのみで民家は皆無。ただし、苫小牧と静内方面を結ぶ、国道235号線が線路と並行する形で走っており、交通量は意外と多い。  遠目からだとホームは草で覆われ、コンクリートブロック製の待合室にも駅名の表示もない。入口に扉がないので寒いうえに誇りっぽく快適とは言い難い。そういう意味でも廃止前から自然に還りつつある雰囲気を漂わせていた駅だった。
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5年で4路線が廃止に
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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