更新日:2023年03月22日 14:23
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朝ドラの聖地も消滅…3月末で運行終了するJR留萌本線の廃止区間を巡ってみた

―[シリーズ・駅]―
 1960年代には総距離4000キロ以上と路線が網の目のように張り巡らされていた北海道。だが、約半世紀の間に38路線が消え、現在の総距離(※23年3月時点)は2410.1キロとピーク時の6割に激減。そして、3月末にはJR留萌本線の石狩沼田~留萌間の35.7キロが113年の歴史に幕を閉じる。  同路線としては16年の留萌~増毛間に続く廃止。今回はそれに伴い、営業終了となる留萌本線の7駅を巡ってみることにした。

①真布駅

真布駅

停車する列車が少なく、近くにバス停もない沿線随一の到達困難駅だ

 石狩平野のほぼ北端に位置する真布駅(北海道沼田町)は、田園地帯にポツンとたたずむ無人駅。短いホームの上には板張りの小さな待合所があるだけだ。  ちなみにJR北海道によると、17~21年の1日あたりの平均乗車人員数は2.2人。上下線合わせて5本の普通列車が通過していたが、今回の廃止区間における利用客は留萌駅に次ぐ多さ。むしろ、周囲300メートル圏内に数軒の農家しかない状況で利用者がいることのほうが驚きだ。  訪れたのは特に寒さが厳しい1月中旬。気温は氷点下10度を下回り、カメラを持つ手が寒すぎて痛い。それでも一面を雪に閉ざされ、いかにも雪原の秘境駅とった赴きがある。実際、『JTB小さな時刻表2022年冬号』(JTBパブリッシング)の表紙にも使われていた。

②恵比島駅

恵比島駅

「ありがとう留萌本線」の感謝のメッセージが

 真布駅から列車で約4分の恵比島駅(北海道沼田町)は、遠野なぎこがヒロインを務めた99年放送のNHK連続テレビ小説『すずらん』の舞台となった駅。昭和初期風の木造駅舎は、撮影用のセットで放送終了後もそのまま保存。駅舎は物語で使用された架空の駅名「明日萌(あしもい)」になっており、ホームの駅名票も恵比島駅名義のものと2つあった。  ただし、この明日萌駅舎は常時開放しているわけではなく、訪問した3月上旬某日は結局中には入れず(※3月は土日祝のみ開放)。隣にはヨ3500形車掌車を改装した“本来の駅舎”があったが、どう見てもこちらが本物には思えない。  なお、駅舎以外にもその隣には劇中でヒロインが住んでいた家、さらに駅正面には同じくドラマ内でたびたび登場した旅館のセットも保存。放送から24年が経つが留萌本線廃止で再び注目を集めており、朝ドラの聖地として今後もぜひ残してほしいものだ。
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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