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レズビアンを公言する“女性のホスト”が歌舞伎町で愛される理由とは

ジェンダーレスアイドルとして活動した過去

「お客様の席についても、声でバレることが多い」と話すニアさん。確かに、声色を変えるとかもしない。

――過去にアイドルとは意外でした。 天使 男装コンカフェで働いているときに、売上を伸ばすためにジェンダーレスアイドルを提案されました。本当は歌って踊るなんて苦手だったんですが……1年に1度、自分は何でもできる!と思ってしまう日がくるんです。誘われた日が、たまたまその日で(笑)。一緒に働いていた女の子を誘って結成。結果的にコンカフェは集客が増えて、売上に繋がりました。でも、結局は新型コロナウイルスの蔓延で、活動停止や就職する女の子もいて、1年半ほどで解散。僕も大学卒業後はテレビ業界に就職しましたが、長時間労働で薄給だし、若い社員もどんどん辞めるような現場で、もう日々がとにかくつまらなかった。先輩に「辛いのに、なんで働いているんですか?」と毎日聞いちゃってましたね(苦笑)。理不尽に怒らるのもキツくて、「実家に帰ります」と辞めました。 ――その後は? 天使 会社を辞めて「人生で楽しかったことは何だろう?」と振り返ったときに、大学時代のコンカフェでした。さっきもいった通り理不尽に怒られたくないので、お金貯めて「コンカフェのオーナーになろう!」と思って、必死で頑張りました。結果的に2店舗まで店も増やし、売上もかなりのものになった。一つやり遂げたな……と思ったときに、「もう一つの夢」のホスト転身がぼんやり浮かんだんです。あのホスト業界の№1を争うという文化が、自分にはカッコよく見えた。毎日毎日、毎月毎月、売上で争うことになる。理不尽に怒られるのは嫌だけど、仕事で追い込まれるのは好きなんですよ(笑)。アイドル時代の元マネジャーがホストに転身していて、どこが良いか聞いたら現在所属の冬月グループを教えてもらいました。さきほども言った、「自分は何でもできる!」と思ってしまった日に、お店の代表にTwitterからDMを送ったんです。「女なんですけど、面接だけでもしていただけませんか?」って。 ――代表の反応は? 天使 「はい、どうぞ」と軽くて(笑)。女性ホストは歌舞伎町で初めてかな?と思っていましたが、FtMを売りにしたホストは存在すること。また、FtMであることを隠して、完全に男性として働く人もいると知りました。ほかにも男装して働く女性もいたそうですが、結果、ほかの男性従業員と恋愛関係になってやめたり、長くは続いてなかった。だから私が正式には初、かもしれない。ただ、代表からは「女性であることを最初は隠して働きなさい」と指示されました。
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「なんで女なんか採用してんねん!」と怒られた過去
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