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「コロナ禍で売り上げ5億!」日本一のホスト、降矢まさきの素顔とは

 前人未到の5億2000万――。それまでの年間売り上げの記録を2億近く上回り、ホスト史上最高の数字を叩き出したのが、冬月グループが運営するホストクラブ「FUYUTSUKI-PARTY-/-KARMA-」でプロデューサーを務める降矢まさき氏だ。ホストとしては32歳の遅咲き。しかも、コロナ禍での5億という偉業達成。この男の超合理的に“自分を売る”という技術は、水商売界隈だけではなく、数多の経営者、起業家なども魅了されている。歌舞伎町のみならず、全国にその名を轟かせた現在日本一のホストの素顔に迫る特別インタビュー前編をお届けする。

「FUYUTSUKI-PARTY-/-KARMA-」プロデューサー・降矢まさき氏。後輩を指導しながらも、自身も接客し、絶対的なNo.1に君臨する。

26歳、鳶職からホストに。徹底的に犬になる

――10代の若者が多い中、7年前に26歳で茨城県から上京してホストになっています。 降矢まさき氏(以下、降矢) ホストを仕事として始めるには、ギリギリの年齢ですね。そもそも中学を卒業した後、いくつか建設会社を転々としたんですが、最後にいた会社の社長が、覚せい剤のやりすぎでぶっ飛んでいたんです。それで、現場を自分が回していたので、周囲の後押しを受けて独立しました。でも、青空の下でコンビニ飯を食べながら、10代の後輩や60歳のおじさんらと、“俺ら、マジ汚ねえ~”ってお互い突っ込み合っているときに、おっちゃんと目が合って、ふと冷静になっちゃんたんですよね。やりがいの多い仕事だけど、会社の社長といっても、ピンハネされまくって何次下請けかもわからないし、お金なんて手元にほとんど残らないし、それに砂埃にまみれて、油にまみれて、顔は真っ黒になって。俺はまだ20代半ばなんだから、30年、40年後を考えたら、もっと違う場所で、輝ける汗をかけるんじゃないかなって。 ――建設業から接客業。鳶職人からホストと、どこで交差したんですか? 降矢 中学を卒業して働き出したので、アルバイトなんてしたことなかったから、建設業以外でやれることなんて何一つなかったんです。何者でもない自分が、どこでなら勝負できるんだろうと考えていたときに、ホストが真っ先に浮かんだ。10代の頃に、カリスマホストの城咲仁や、ドラマ『夜王』でホスト役を演じるTOKIOの松岡昌宏をテレビ越しに見て、ホストの世界ってどんなだろうっていう興味はあったけど、その程度でしかなかったかな。憧れのホストなんかいなかったし、憧れても俺がその人になれるわけではないしね。それに、置かれている環境に寄るけど、何かを始める理由を探している時点で、それはやらない言い訳を見つけようとしているんだと思うんです。自信なんてなかったけど、触れてみないとどんな世界かはわからないから、とりあえず飛び込んで、一年、全力疾走してダメなら、建設業界に出戻って再スタート。そう覚悟を決めて、ホストクラブの近くの東新宿にあるマンションに部屋をかりました。 ――いきなり好立地ですね。 降矢 7畳ワンルームで、家賃は13万円だったかな。貯金が半年で底をつく計算だったけど、お店から徒歩5分という立地は、他の何物にも代えられないと思って即決めしました。 ――新人ホストはほとんど稼げないので、少しでも負担を減らすために、寮に入るのが一般的だと聞きますが。 降矢 好きな人や尊敬する人に自分から歩み寄って、手の平で踊らされたり、翻弄させられたりするのはストレスにならないけど、寮は集団生活だから、どうしても生理的に受け付けない人に振り回されてしまうこともあるなって。そう思うと、自分の大切な時間を、そんな無駄なことに費やしたくなかったんですよね。それに、知名度ゼロで田舎から上京したぽっと出のホストに、お金を使ってもらえるなんてありえないから、まずは先輩を観て、仕事を盗むしかないなと。じゃあ、どんな人から学びたいかって話になる。それで、一番売れている“先輩の犬”になろうと決めました。

伝説のホストに学んだ、“日本一”の価値観

――それが、冬月グループの代表で、絶対王者と呼ばれる渋谷奈槻さんだった。 降矢 そうですね。飼い主に呼ばれたら、息を切らせながら笑顔ですぐに駆けつけないとご主人様は拗ねちゃうから、いつ呼ばれてもいい場所にハウスを構えないといけないと思ったんです。だから、携帯電話も鳴ったらすぐに気づく場所に置いていましたね。たとえば、椅子に座っているときは太ももの下とか、寝ているときは枕の下とかね。でもまあこの習慣は、ホストを始める前からですけどね。嫌な先輩にも自分から連絡していましたし。 ――距離を置くのではなく? 自分から近づいていくのは、物凄くストレスになりそうですが。 降矢 着信画面に表示されるだけで生命力が吸い取られる、吸血植物の如き名前ってあるじゃないですか。俺が苦手だった先輩は、かまってちゃんだったから、こちらから連絡しないと、むこうからひっきりなしに連絡がきていたんです。不安で仕方なかったんでしょうね。だから、先回りして、「今日の調子はどうですか」と、毎日、決まった時間に連絡するようにしたら、「今日は特に何もねえなあ」と、すんなり終わることが少なくなかった。逆に、こいつウザい奴だなと思ってもらえたんでしょうね(笑)。周囲にいる面倒な人って、「この人達も他の人と同じで、どうせ俺のことを厄介な人と思っているんだろ」と、勝手に決めつけて不貞腐れているところがあるから、わざとぶっきら棒な態度を取ることが珍しくないんですよね。そういう意味では、周囲が面倒くさい人を作っているともいえるのかなあと。 ――人を動かす、マネジメントする。そういう力は、会社を経営していくなかで自然と養われていったのかもしれないですね。 降矢 今ではなく近い将来、いかに自分が楽をするかは考えていましたね。しぶなつ(渋谷奈槻)さんに狙いを定めたのも、日本一のホストが持つ世界観、センス、考え方を肌で感じるため。だって、自分がそのポジションまで成り上がったときに、狼狽していたら、ライバルに追い抜かれてしまいますからね。ポジションが向こうから歩み寄ってきてくれるなら案山子でもいいけど、課長には課長の、部長には部長の、NO1にはNO1の、そこにたどり着きたいなら、こっちから準備を整えていかないと。
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売れっ子ホストが絶対かかる病「No.1病」
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