更新日:2023年12月08日 14:45
お金

“ひとり負け”のかっぱ寿司。買収したコロワイドの「外れた目論見」

“ひとり負け”かっぱ寿司。V字回復できず

とはいえ、荒さも目立ちます。「かっぱ寿司」は2011年以降、回転寿司業界トップの座から落ちており、業界内で“ひとり負け”が続いていました。 目先の利益を目的にネタを縮小したことで低品質というイメージが定着したほか、他チェーンが提供している充実したサイドメニューの開発が遅れ、業界内で進む“ファミレス化”に対応できなかったためです。 そんなかっぱ寿司をコロワイドは2014年に買収しましたが、既にあったマイナスイメージの払拭は難しくV字回復はできませんでした。低品質な印象を思わせない店舗デザインの改装や、一皿50円メニューの提供といった施策も不発に終わっています。

コロナ禍と相性の悪い業態店が多く、業績が悪化

コロナ禍では業績が大幅に悪化しました。2019/3期から2023/3期の業績は次の通りです。 【株式会社コロワイド 2019/3期~2023/3期】 売上収益:2444億円→2353億円→1682億円→1756億円→2208億円 営業利益:40.8→▲46.1→▲131.6→50.6→▲67.4 2021/3期はコロナ禍以前と比較して売上高が3割も減少し、営業利益も大幅な赤字に転落しました。既に脱・居酒屋化を果たしていますが、焼肉+しゃぶしゃぶ形態への高い依存度が業績の足かせとなりました。 コロナ禍で好調だった飲食店は、(1)比較的感染リスクが低い、(2)必需性の高い商品を提供、(3)デリバリー・テイクアウトが可能……という共通点があり、すき家やマクドナルド、スシローなどのロードサイドに店舗を置くファストフード業態がこれにあたります。コロワイドにはこうした形態の店舗が少なく、かっぱ寿司も消費者が競合に流れたことでグループ全体の業績に貢献しませんでした。 なお、2022年3月期からは他の飲食店同様、客足が戻り業績が回復しています。ちなみに大戸屋HDは肉料理の強化など男性客を呼び戻す施策もあって業績が回復しており、2023年3月期には黒字化を達成しました。
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海外事業×給食事業でさらなる拡大を狙う
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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