更新日:2023年06月02日 15:22
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“明暗くっきり”のライトオンとマックハウス。分岐点は「デニムから次の一手」

両社の明暗を分けたのは一体何か

 コロナ禍という小売業界を激変された環境の中、ライトオンが迅速に改革を実行できたのはなぜでしょうか。その要因の一つに、この会社がオーナー企業であることが挙げられます。  ライトオンは創業者の藤原正博氏が、株式の17.67%を保有する筆頭株主。社長は長男の藤原祐介氏です。意思決定や改革の実行をスピーディに行える典型的なオーナー企業です。  その一方で、マックハウスはチヨダが60%超の株式を保有しています。チヨダは「東京靴流通センター」や「靴のチヨダ」を運営する会社。かつて玩具店の「おもちゃのハローマック」の店舗展開もしていました。マックハウスはチヨダの連結子会社なのです。  ブランドや店舗展開の面でも、株主の支配力は大きく影響します。マックハウスは働く女性を応援するキャンペーンを立ち上げましたが、これはチヨダが開発する履き心地が優しいパンプス「fuwaraku」との相乗効果を狙ったもの。この企画はカジュアル路線で店舗展開を行うマックハウスとターゲットが合致しません。

デニムから次の一手に

 ターゲットのニーズを上手く掬い上げているのがライトオン。アウトドア向けのプレイベートブランド「CAMP7」の打ち出しを強化し、自社商品の売上比率が向上しているのです。2021年8月期の「CAMP7」の売上は前年同期と比較して6割以上増加しました。  空前のキャンプ・アウトドアブームの流れに上手く乗ることができました。このブランドのポップアップストアを出店するなど、更なる拡大に向けて歩み始めました。デニムブームの終焉という長い暗闇を抜けて一条の光が見えたというところでしょう。  オーナー企業とはいえ、創業者の藤原正博氏は取締役から外れ、ライトオンは大きく生まれ変わろうとしています。マックハウスは再成長の足掛かりがつかめていません。2社の明暗が分かれました。 <TEXT/中小企業コンサルタント 不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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