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罪もないクルド人の子供を追い出すほど、日本は度量が狭い国なのか/入管法改正

「日本が大好きで、日本の役に立ちたいです」

翌4月25日には。100人ほどのクルドの子供たちが国会前に集結し、入管法改正案に反対を訴えた。代わる代わるマイクでスピーチをし、みんな将来の夢を語った。 日本生まれでずっと仮放免だという中学生の女の子は、 「私は弁護士になりたい。日本に住んでいるクルド人と日本人を助けたいからです。クルド人でも弁護士になれると証明したいからです。日本で勉強を続けて日本の役に立ちたいです。私はトルコを知りません。なぜなら日本生まれだからです。私は日本が大好きで日本にいたいです。クルド人の頑張りを認めてください」 そして子供たちは、国会の前に小学校の黄色い帽子を次々と置き始めた。これは「私たちも学校に通っている」というアピールだったそうだ。 クルドの子ども 帽子その後、入管法改正案は衆院を通過。子供たちはさらに何かやらないといけない、と考えた。集まって横断幕づくりをした。真ん中に大きな字で自分たちが考えた言葉「ここにいさせて」と力強く書いて、その周りに想い想いのメッセージを書き込んだ。

突然「国に帰ってください」と言われても…

5月22日、ついに7名(小6~高3)の子供たちは国会対策ヒアリングに参加することになった。平日の昼間なので学校を休んでくる子もいた。「悪い法律が通ったら、学校どころじゃなくなるから」と言っていた。 立憲、沖縄の風、社民、共産党の野党議員が14名参加し、これが最後のチャンスかもしれないと緊張しつつも子供たちは一生懸命、伝えたいことを喋った。 高3の子は、 「物心ついた時から日本にいて半年の(特定活動)ビザがあったのに、高校生になったら入管に呼び出され家族全員ビザを取られ、『国に帰ってください』と言われた。急に言われてもまったく理解ができなかった」 やはり昨年、入管により(特定活動)家族全員、ビザを失ったという中2の子は、 「2歳の妹も仮放免になってしまった。妹が39度の熱をだしても保険証がないから病院に連れていくことができなかった。それがとてもかわいそうで辛かった」 など心が痛くなる体験を語ってくれた。
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日本はそんなに度量の狭い国なのか
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おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)、入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)

ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄”~

非人道的な入管の実態をマンガでリポート!


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