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日ごろは袖にされているのに、なぜ都市の有権者は自民党政権を延命させ続けてきたのか?/倉山満

地方の利益の代表と都市の利益の代表

 ところで、「日本維新の会が躍進しているから解散」とは、どういうことだろうか。これは明治以来の日本の政治構造、デモクラシーの在り方から説き起こさねばならない。  自民党は、自由党と日本民主党が合同して成立した。自由党の源流は、板垣退助の自由党で、戦前は二大政党の一角の立憲政友会、昭和20年代は吉田茂の自由党が長期政権を築いた。この流れの人々は、地方の利益を代表し、憲政史のほとんどの期間で衆議院第一党である。  日本民主党の源流は、大隈重信の改進党。戦前は二大政党の一角の立憲民政党、昭和20年代に吉田に抵抗した人々を鳩山一郎が糾合して日本民主党が結成された。この流れの人々は、都市の利益を代表し、憲政史のほとんどの期間で衆議院第二党である。  1955年に、保守合同で自民党が結成された。構造的には地方利益を代表する政党である。もともとは農民人口1割の時代の政党であり、農民が減るとゼネコンで埋め、最近では創価学会に頼ってきた。選挙において固定票が1割あると極めて有利なのは自明だが、自民党は常に日本人の1割の固定票を保持し、貪欲に権力を保持し続けてきた。

なぜ都市の有権者は自民党政権を延命させ続けてきたのか

 自民党の極めて優れているところは、権力を失いそうになった時の改革能力である。日ごろは地方利益の代表でも、いざという時には都市の有権者をつなぎとめる政策を打ち出し、そのイメージを振りまく政治家を総理総裁に据える。そして、都市の浮動票を掴んで政権を維持すると、再び地方利益の代表に戻る。  こうした結果、都市の有権者の声は忘れられた格好となった。なぜ日ごろは袖にされているのに、都市の有権者は自民党政権を延命させ続けてきたのか。理由は二つある。  一つは、経済が成長していたので、我慢できたからだ。戦後日本は、都市で稼いだ利益を地方にバラまくことで、富の公正配分を図ってきた。成長している限り、都市には多大な恩恵があるので、我慢できる。しかし、経済が成長しないなら、単なる搾取だ。ならばなぜ?
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都市の有権者の不満は募っている。その証拠に、東京・愛知・大阪の知事に、自民党は一人もいない
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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