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日ごろは袖にされているのに、なぜ都市の有権者は自民党政権を延命させ続けてきたのか?/倉山満

東京・愛知・大阪の知事に、自民党は一人もいない

 それが第二の理由で、他に代わる選択肢がないからだ。都市利益の代表たるべき歴代野党第一党は、日本社会党、民主党、民進党、そして今の立憲民主党である。極端な主張を繰り返し、コアな支持層は日本人の2%と言われる。しかし、小選挙区制では第三党以下が不利だ。  結果、都市の有権者の不満は高まっている。その証拠に、東京・愛知(名古屋市)・大阪(大阪市)の首長に、自民党は一人もいない。  そこで日本維新の会は「まず野党第一党になる」と宣言、計画的な政権奪取政策を示している。  有権者の「マトモな野党が欲しい」との欲求は、顕在化してきた。それが、衆議院選、参議院選、統一地方選と、維新が着実に勢力を伸ばしている理由だろう。勢いは、都市以外にも広がっている。

自民党を生まれ変わらせる方法

 ただし、今すぐ解散総選挙をすれば、維新は大阪以外でどれほどの議席を獲得できるかが未知数だ。100議席を超えるのも、立憲民主党を抜くのも難しいと思われている。だが、時間をかけて浸透していけば、立憲民主党を抜いて100議席超の野党第一党になるのは確実だ。  そこで、むしろ自民党支持者にこそ問いたい。自民党を改革するのは簡単だ。マトモな野党第一党が登場すればいい。政権を失いそうになった時の改革能力は、世界一だ。どんな嫌われ者でも総理総裁にするし、最後はまとまる。  55年体制において、自民党は論外の野党に助けられ、国民の消極的支持で権力の座に安住してきた。それは自民党支持者にも不満だろう。  むしろ、強力な野党第一党を登場させて(それが維新である必然性は無いが、現時点では最も現実的だ)、自民党を生まれ変わらせた方がよくないか。  マトモな政党が二つないと、選挙の意味がない。地方と都市の利益は宿命的に対立する。そして、どちらも必要だ。対立軸を明確化した方がよくないか?
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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