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岸田首相は「好きに増税して良い」とでも思っているのか?/倉山満

大義名分は「勝てるうちに選挙をやりたい」か

 誰が吹かせたか知らないが、政界には解散風が吹き始めている。それも首相官邸、と言うより岸田文雄総理大臣その人が発信源だとも伝わる。衆議院の任期は4年。前の総選挙から2年も経っていないのに、何の為にまた選挙をやるのか。
岸田首相

5月24日の衆院予算委員会では「今、解散については考えていない」と答えた岸田首相だが、不信任決議案を野党側が提出したら、解散に踏み切るのではとの声は強まっている 写真/産経新聞社

 政界雀曰く、「株価は絶頂調で、これより上がるのは難しいかもしれない。サミットの成功で、支持率は上がっている。今のうちにやれば、野党はバラバラで何の準備もできていないから、勝てる。来年の9月は自民党総裁の任期切れで、その時に支持率が落ちていれば、解散して求心力を高めることもできなくなる。それに野党第二党の日本維新の会が勢力を伸ばしてきているが、時間が経てば経つほど、維新の勢力は固まる。だから、勝てるうちに衆議院を解散しておきたい」のだとか。これのどこが大義名分なのか、単に「勝てるうちに選挙をやりたい」と言っているようにしか聞こえないのだが。

今の野党が相手なら、解散も怖くない

 衆議院の解散権は、総理大臣の伝家の宝刀。好き勝手な時に行使できる。つまり、総理大臣の一存で、衆議院議員全員をクビにできるから、伝家の宝刀なのだ。そして、他の誰もが反対しても、総理大臣が「やる」と決意すれば、反対する方法はない。権限上、解散に署名しない閣僚を罷免できるし、「首相は全閣僚を兼任して解散」もできるのだ。もっともそんなことをして選挙で多数派を占められるかどうかは、有権者次第だが。  今の野党が相手なら、怖くない。何があっても勝てる、とでも思っているのか。  本当に解散するかどうか知らないが、もし本当にやるなら、四つの理由で面白いと思う。  第一の理由。約25年も連立してきた公明党が嫌がる。既に、選挙区調整の段階で、揉めに揉めている。
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本当に解散するなら、面白いと思う第二の理由とは?
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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