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上司に媚び、“格下”を徹底的に潰す「問題社員」。自分が“特別な存在”だと確信する心理とは

潰されないように自己防衛をするしかない

 事例を読む限りでは、男性は変わろうとはしていないように思います。その場合は、周囲は振り回され、精神的に相当にきつくなることがあります。したがって、リアリズムの姿勢を持ち、潰されないように自己防衛をするしかないのです。正論を述べて直接対決をするのは、争いになるなど逆効果になるケースが多く、避けたほうがよろしいか、と思います。  その場で論破しても、相手は賞賛欲求が相当に強く、これを否定されたわけですから、根にもち、やり返してくることがあります。それでも言わざるを得ない時には、人格については触れずに例えば、「あなたのその言動はこういう問題が生じているからやめてもらいたい」と事実にもとづき、冷静に言うのがよいと思います。  ただし、基本的なアプローチは、近すぎる距離にいるならばある程度の距離をとり、刺激をしないようにすることです。話す場合はおだてつつ、接するとよいかもしれません。おだてると、相手からの攻撃は減り、ダメージを避けることができます。

本人に伝えるなら第三者を入れて冷静に

新入社員 厳しく何かを言われたり、否定をされたりとしても、難しいことではあるのでしょうが、受け流すことも必要です。通常は相手を攻撃するから、逆に言い返されると思うものですが、自己愛性パーソナリティ障害の人はそれがわからない。だからこそ、“障害”と言われるのです。  周囲にいて攻撃に耐えられないならば、環境を変えるなど「環境調整」も必要になるかと思います。それが難しい場合、会社員の人は社内問題の相談を受ける部署や人事や総務などの第三者を入れることも必要になるでしょう。その場合、感情論ではなく、事実をベースに冷静に伝えたほうがよいと思います。  被害を受け、苦しんでいる人にはこんなことをお伝えしたい。苦しいでしょうが、潰されないで、生き残ってください。そのためにもリアリズムに考え、できることをしていきましょう。どうか生き残ってください。 (回答ここまで) ===========  春日医師は自らのYouTubeチャンネル「こころ診療所チャンネル」で自己愛性パーソナリティ障害を取り上げ、該当するか否かのいくつかのポイントを挙げている。読者諸氏もご覧になり、その中に該当するものがあるかどうか、と試みてはいかがだろうか。
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取材を終えて:被害者に寄り添う姿勢を
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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