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上司に媚び、“格下”を徹底的に潰す「問題社員」。自分が“特別な存在”だと確信する心理とは

 仕事はできない。ミスや問題が続出。それを指摘すると、入社2年目でありながら激怒し、しつこく復讐をしてくる。攻撃は、心や精神が破壊されるまで続く。あなたが、その被害者ならばどうするかー。
会社員

※画像はイメージです(以下同じ)

 今回は実際に起きた事例をもとに、職場で起きた問題への対処法について考えたい。本記事の前半で具体的な事例を、後半で専門家の解決策を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。

事例:同僚をノイローゼにする「問題社員」

 正社員数300人規模の広告代理店の営業部に勤務する森谷秀樹(仮名・24歳)は中堅の私立大学を卒業し、昨年4月に新卒で入社し、2年目。正社員が50人ほどいる営業部の一部では、「自己愛性パーソナリティ障害ではないか」と噂されている。  入社時から数年上の先輩や同期生との人間関係の摩擦やトラブルが繰り返されてきた。意見や考えが少しでも否定されると、感情をむき出しにして不愉快そうになる。その後も怒りがおさまらないようで、否定した相手に必ず復讐をする。  例えばLINEを使い、けなしたり、からんだり、相手が謝るまで数十回も続ける。この攻撃により、ノイローゼになってしまった同僚もいる。  ところが、年齢が離れた先輩や直属上司、役員らには別人のように接する。愛想よく、忠実なイエスマンとなる。20代前半ではあっても、適度に甘えることも心得ていて上司や役員とは頻繁にランチを一緒に食べる。その場に同期生が同席すると、さっそく不愉快になる。

上司や役員からは可愛がられている

 どうやら森谷さんは自分だけが特別な存在として扱われることを望んでいるようだ。常に人間関係を優劣で捉え、自らが勝っている場や状況にいないと不満になる。常に自分が輪の中心にいないと気がすまない。  営業成績が自分よりも上の数年上の先輩や同期生がいると、必ずからむ。嫉妬深く、自分が上位にいて注目を浴び、賞賛されていないと不機嫌になる。勝たないと気がすまないようで、現状に飽き足らず、常に上を目指す。  さらには同期生や契約額が少ない先輩を皆の前でバカにする。相手の心理や気持ちがわからないようで、平社員なのに営業部長であるかの物言いで発言し、けなす。そこに上司や部長がいると、おとなしくなる。  去年の新入社員の頃からこのように振舞うため、社内では「自己愛性パーソナリティ障害ではないか」と見る人が増えている。だが、上司や役員からは依然としてかわいがられている。この男性の周囲の社員は精神疾患になったり、辞める人が目立つ。
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精神科医に聞く「自己愛性パーソナリティ障害」
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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