更新日:2023年07月28日 16:42
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パートナーを探すなら、同じものを好きな人よりも、同じもので怒れる人

ossan1-1おっさんは二度死ぬ 2nd season

怒りの本質

 少年漫画「HUNTER×HUNTER」の初期の話に次のようなセリフが登場する。 「その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるか知れ」  この言葉を裏返すと、人は怒りに対してだけその人の本質を出すので、それを知ればその人の本質を知ることができる、ということだろう。これはとても重要な言葉だ。  喜怒哀楽という感情において、怒りだけがあまり偽ることがなく、偽ることが難しい感情なのだろうと思う。喜んでいるふりや悲しんでいるふり、楽しいふりはできるけど怒っているふりは難しいし、する意味もあまりないからだろう。  僕は学校の先生に怒られまくる子どもだったが、ほとんどの先生は口々に「先生はあえて怒っている」と言っていた。それはいま思うと大嘘で、「あえて怒っている」という状態は存在しないのだろう。制御できなくて爆発するものが「怒り」なので、「あえて」なんて状態は存在しないのだ。あのときの先生たちはきっちり感情に任せて怒り狂っていたように思う。それだとバツが悪いので「あえて」と言っていたのだろう。

「同じものにムカつく」ことこそ、パートナーとの結びつきを強める

 だから、そうやって制御できない感情こそが「怒り」なので、それはその人の本質に近く、それを知ることでその人の価値観や本質を知ることができるのだ。  例えば、恋人になりそうな男女がいたとしよう。昨今ではマッチングアプリのCMなどで「価値観の合うパートナーが理想」みたいな風潮が押し出されており「二人とも犬が好き」「趣味が同じ」みたいなものが価値観の基準になっているが、それはまり意味がないかもしれない。  これらは喜とか楽の感情なので、本質でなくてもそのフリはできる。本来は「同じものにムカつく」「同じものに怒る」のほうがパートナーとなる上で重要なファクターなのだ。同じものに怒るなら、同時に相手を怒らせないことも可能だから上手くいく。怒りの感情がズレていれば何が悪いか分からず相手を怒らせてしまうのだ。  さて、のっけから説教くさい内容になってしまい、いきなりどうしたと思うかもしれないが、実はつい最近、そういった相談に乗った経験があったのだ。
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結婚したいおっさんが相談を持ちかけてきた
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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