更新日:2023年07月28日 16:42
ライフ

パートナーを探すなら、同じものを好きな人よりも、同じもので怒れる人

結婚したいおっさんが相談を持ちかけてきた

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イラスト:jsks

 その日は、桜口さんというおっさんの相談にのった。場外馬券場のおっさんどもはいつも何かに悩んでいる。  桜口さんは、おっさんと言えどもまだまだ若い部類に入るおっさんだ。僕から見るとひよっこもいいとこだ。そんな桜口さんは最近では結婚相談所に登録するかどうか悩んでいるらしい。なんでも、今年中には結婚したいそうだ。いい相手を見つけるにはどうしたらいいか、そんな相談を僕にしてきた。まあ、そもそもそんな深刻な相談を僕にするのが間違っているのだけど、されたからには真剣に答えなくてはならない。 「登山とか趣味なんで、同じ趣味の人がいいな。あと辛い物の食べ歩きが好きだから、それも好きな人がいいな。どうやったらそういう人に知り合えますかね。やはり結婚相談所かな」  桜口さんは柔和な表情を見せながらそう言った。そこで冒頭の僕の理論である。 「そうやって趣味や好きなものが同じってのも大切ですけど、同じものに怒れる相手を探すことも大切ですよ」

最近の僕の怒りをぶちまけてみた

 やはり、怒りとは隠すことのできない感情だし、隠していると無理が生じてくる感情でもある。そこの部分が同じ人を「相性が良い」と表現したほうが、様々なところの無理が生じないのだ。 「さあ、桜口さんは何に怒りますか。それと同じ怒りを持つ女性を探しましょう」  面倒くさくなったのか僕の助言もまあまあに乱暴だ。 「いやあ、あまり怒ったりしないからなあ」  桜口さんはさらにやわらかい表情を見せてそう言った。僕の経験上、こういう人ほど怒るとヤバい。けっこうエグい。だから、彼の場合はより怒りの価値観が同じパートナーが重要となってきそうだ。 「僕は最近、僕の文章をパクりまくって載せているブログに怒りまくりましたね。センスねえ自前の文章と並べて僕の文章を載せていたり、会員限定の文章までコピーしてたりして怒り狂いました。僕はこれに対して同じように怒ってくれる女性が良いです」  桜口さんが言いやすいように自分の怒りエピソードを出していく。話し始めたらまた自分の怒りが収まらなくなってきた。
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僕の文章をパクる輩が定期的に現れるのだ
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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