更新日:2023年07月28日 16:42
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パートナーを探すなら、同じものを好きな人よりも、同じもので怒れる人

僕の文章をパクる輩が定期的に現れるのだ

「僕は文章でお金を貰っている人間なので、パクられるのはカネを盗まれているのと同じですよ。本人の連絡先もブログに記載がないし、とにかく素早く削除してくれってブログ運営会社に申し出たけどなしのつぶてですわ」  怒りが収まらない。名前を出すわけにはいかないのでブログ運営会社の名前は出さないけど、権利侵害で削除希望の場合は郵送で手続きを、もちろん送料はそちら持ちでという対応だった。面倒くさくてそんなことだれもしないという対応だった。おまえらインターネットの会社だろ、なんでオンラインで手続きできないんだよ、サイバーエージェントのアメブロ。 「とにかく、怒りですよ。同じようにサイバーエージェントのアメブロに怒ってくれる女性がいいですね、僕は」  僕のサイバーエージェントのアメブロへの怒りがヒートアップしてきたのを受けて、桜口さんも怒りを吐露し始めた。 「そういや、ありました、さいきん怒ったこと」  やはり優しい表情と口調なのだけど、しっかりと怒りを秘めた口調で話はじめた。

アダルトコーナーがないドン・キホーテの存在を君は知っているか

 桜口さんは歌舞伎町のドン・キホーテが好きらしい。あの狭い店内に所狭しと商品が並ぶ様子や、ひと癖もふた癖もありそうな客がひっきりなしに出入りする様子が好きらしい。彼はそれを「カオス」と表現した。  そのカオスの中でもアダルトコーナーがお気に入りで、ファイナルファンタジーの最後のほうで手に入る武器みたいな形をしたバイブを眺めたり、ローションを購入したり、オナホールを手に取ったり、とにかく楽しいらしい。 「そのノリで地方のドン・キホーテに行ったんです。地方のドン・キホーテは店舗が大きくMEGAとかついていたりする。だからアダルトコーナーもすごいんだろうなとワクワクしながら。けれどもね、地方のドン・キホーテ、アダルトコーナー、ないんです」  僕らのような歌舞伎町や都市部のドン・キホーテユーザーは麻痺しているが、実は、地方のドン・キホーテにアダルトコーナーはほとんど存在しない。むしろ、識者に言わせると存在しないドン・キホーテのほうが多いらしい。  ただ、桜口さんの失望は大きかった。日本中全てのドン・キホーテにアダルトコーナーがあり、その全てを訪問することを老後のライフワークにしようと考えていたくらい、好きだったのに、その夢が始める前に潰えてしまったのだ。それはいつしか怒りに変わった。
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桜口さんと僕の怒りは同じかもしれない
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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