更新日:2023年09月01日 14:53
スポーツ

「ベイスターズファンの心理は、常勝球団ファンとは違う」チームと苦楽をともにした男たちが語る想い

特別ユニフォームを配布する「YOKOHAMA☆STAR NIGHT」が定着

1998年の遺伝子

1998年、優勝当時の集合写真

 川島の入社から遅れること10年。’03年秋にベイスターズの関連会社に入社した現・広報・コミュニケーション部長の青木慎哉(47歳)が興味深い話を聞かせてくれた。 「こうして’11年オフに誕生したDeNAベイスターズは、発足当初のチーム成績は悪かったですが、初年度に始まった『YOKOHAMA☆STAR NIGHT』が大きな転機の一つとなりました」 「YOKOHAMA☆STAR NIGHT」とは、来場したファンに特別ユニフォームを配布する夏の一大イベントで、DeNA元年から行われているこのイベントは、ベイスターズの夏の風物詩として今やすっかり定着した。

ベイスターズファンのメンタルは、常勝チームファンの心理とは違う

 自身も生粋のベイスターズファンだった青木が、ファン心理を代弁する。 「僕らが子供のころ、ホエールズやベイスターズのユニフォーム姿でスタジアムで応援するなんてことは考えられなかった。悔しいですが“セ・リーグのお荷物球団”と言われることもありました。ベイスターズファンの皆さんは肩身の狭い思いしてきているのです」  思えばチームが最後にリーグ優勝、日本一を達成した1998年秋、歓喜に沸くオールドファンの多くは「まさか自分が生きているうちに優勝を経験できるなんて」と、大げさでなく喜んだものだった。  ベイスターズファンのメンタルは、常勝チームのファン心理とは大きく異なる。青木は続ける。 「ベイスターズファンは、ひとつの勝利を何度も喜べるんです。勝った日は夜のスポーツニュースをハシゴして『あのプレー、よかったなぁ』と何度も噛みしめる。これは常勝球団のファンにはない独特な感情だと思います」
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横浜の街に溶け込んだ特別ユニフォームの配布
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1973年、神奈川県生まれ。日大芸術学部卒業後の1997年、横浜ベイスターズに入社、通訳・広報を担当。'02年・新庄剛志の通訳としてMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ、'03年ニューヨーク・メッツと契約。その後は通訳、ライター、実業家と幅広く活動。WBCは4大会連続通訳を担当。今回のWBCもメディア通訳を担当した。著書に『大谷翔平 二刀流』(扶桑社)ほか

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