実況アナとして常にニュートラルな状態でレースと向き合うために、車券を買う機会はかなり減ったという岩原さん。競輪ファンだった頃のような楽しみ方ができなくなった点に関してはどう思っているのだろうか。 ——実況を始めたことで、ファンとして競輪を楽しめなくなったのは寂しくないですか？ 岩原：たしかに、昔みたいなハラハラドキドキを感じることはなくなりました。でも、これは選手を経験しているからこそ分かるんですが、選手のみなさん、もの凄く大変なトレーニングの積み重ねたうえでレースに出ているんですよ。それと、ファン時代から「この人は凄いな」って思っている選手も走っています。そんな人たちのレースの実況ができる、そんな人たちが私の声の中で走ってくれている。それは、私にとってすごく光栄なことなので嬉しくてたまらないんです。だから、今は実況アナとしてすごく充実しているので、車券を買うよりも楽しいですね。 　ファンから選手へ、選手から実況アナウンサーへ。競輪界において異色の人生を送っている岩原紗也香さん。レースの実況アナとしては独り立ちしてまだ1年弱と決しては長くはないが、その分、伸び代はたっぷり。今後も彼女らしい個性的なアプローチで競輪界を盛り上げてくれる可能性が高いだけに、その活躍からは目が離せない。 取材・文／サ行桜井
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。