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山道で倒れ込むほどキツい練習メニュー。元ガールズ女王が語る競輪選手時代の過酷な練習

 ガールズケイリンの人気筆頭格として、1つの時代を牽引してきた高木真備さんに、競輪にまつわる話を語っていただく連載企画。高木さんは一昨年の末に開催された「オッズパーク杯 ガールズケイリングランプリ2021」で見事に優勝。年間賞金女王の称号を獲得し、「やり切った!」という気持ちで昨年5月に選手を引退。現在は保護犬・保護猫活動を行っている。  そんな高木さんに元ガールズケイリン選手としての様々な裏話を聞いていく当連載企画。今回は「現役時代の練習」について聞いてみた。

元ガールズ女王の現役時代の過酷な練習

 競輪はオフシーズンがないスポーツである。レースは365日毎日開催され、選手は3日間開催されるレースに毎月3回ほど参加。そうなるとレースに参加するのは1ヶ月で9日程度だが、選手にとっては練習も大事な仕事なのだ。  選手にとってはレースでの活躍しかスポットが当たらないが、日々練習を続けていないとトップ選手にはなれない。2021年のグランプリ覇者となった高木さんは、どのような練習方法で実力をつけていったのだろうか。  まず最初に競輪選手としては一般的な練習の1つといえる「バイク誘導」についての話を聞いた。バイク誘導とは、バイクの後ろを自転車でついていく練習のこと。
高木真備さん

バイク誘導で練習を行う現役時代の高木真備さん

 そもそもなぜバイクを使った練習を行っているのだろうか。 「選手によって違うかもしれませんが、私がバイク誘導の練習をやっていた一番の理由は自分の力だけで出せるスピード以上のスピード感を経験するためです。やっぱり目が慣れるんですよね。最初は時速80kmは速すぎちゃって怖いんですけど、それ普通になってくるとレースの時速60kmって遅く見えてきます。そうなると判断力も鍛えられるので、スピードを身体に慣れさせるための練習として取り入れていました」

バイクは誰が運転するのか

 バイク誘導の練習は、もちろんバイクを運転してくれる人がいないとできない。傾斜が急なバンク内をバイクで運転することは簡単なことではないだろう。一体誰がバイクの運転をしているのだろうか。 「敷地内なので法律的には免許がなくても乗れますが、バイクを乗る技術がないとバンクに傷をつけてしまうので、地区によって乗っていい人の基準が決まっています。元選手などの外部の人を呼んでいるところもありますが、私が練習していた地区では選手が交代で引っ張り合っているケースが多かったです。ちなみに私はバイクを運転したことはなく、いつも練習をみてもらっていた高木隆弘さんに引いてもらっていました。でもガールズでバイクを引いている選手もたくさんいましたね」
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街道練習中に猪や猿と遭遇したことも
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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