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ベイスターズ主将・佐野恵太に出された代打…石井打撃コーチは「打順も守備も、固定できず申し訳ない」

「打順も守備も、固定できず申し訳ない」(石井)

1998年の遺伝子

1998年、優勝時の胴上げ

 初球から強振できる佐野の打撃スタイルは、攻撃的1番と言える一方、コンビを組む2番打者が日替わりとなっていた。佐野が1番に起用された試合の2番を数えると、林琢真、宮﨑敏郎、神里和毅、京田陽太、大和、楠本泰史、ソト、関根大気、大田泰示、桑原将志と10人もいる事実に驚く。  チーム全104試合にスタメン出場している佐野の打順は、1番61試合、2番2試合、3番28試合、5番13試合と固定されておらず、守備に関してもレフトとファーストの併用が続いている。 「打順も守備も、固定できず申し訳ない」(石井)と語るチーム事情が、今季の佐野に負荷となっているのは明らかだ。(数字は8月15日時点)

一打逆転の好機で代打を送られ、目に涙を浮かべた佐野

 一打逆転の好機で代打を送られた佐野は、目に涙を浮かべていた。それでも感情を押し殺し、自らの代打として打席に立った楠本に、ベンチの最前列から声援を送り続けた。 「あの佐野の姿勢はプロフェッショナルでした」と石井打撃コーチは感嘆する。 「僕も代打を送られた経験はあるし、広島時代は打撃の天才と謳われた前田智徳に代打が送られる試合もあった」  和気あいあいとした雰囲気で25年ぶりのペナント優勝を目指すベイスターズには、サイヤング賞投手のバウアーが加入し、その激投に現場が引き締まった。同じように不動のレギュラーであり、チームの主将を務める佐野でさえ代打を送られる采配は、勝ち残りを懸けた正念場には必要な空気なのかもしれない。
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「打者としては悔しい思いが一番です」
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1973年、神奈川県生まれ。日大芸術学部卒業後の1997年、横浜ベイスターズに入社、通訳・広報を担当。'02年・新庄剛志の通訳としてMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ、'03年ニューヨーク・メッツと契約。その後は通訳、ライター、実業家と幅広く活動。WBCは4大会連続通訳を担当。今回のWBCもメディア通訳を担当した。著書に『大谷翔平 二刀流』(扶桑社)ほか

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