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20世紀最大の哲学書、ハイデガー『存在と時間』を今読み解く意義とは?

自分自身の本来の生き方を取り戻すために必要なヒント

 この本によって一躍哲学の世界の表舞台に立ったハイデガーだったが、その後の彼を待ち受けていたのは、波乱に満ちた生涯だった。 「1929年に世界恐慌が起こり、ドイツ経済は破綻していきます。そのさなかで、国民の不安を糧に台頭してきたのが、アドルフ・ヒトラー率いるナチ党(ナチス)でした。1933年、ナチ党が政権を掌握すると、ハイデガーはフライブルク大学の学長に就任し、なんとナチ党の党員になります。そして、あろうことか、学長就任演説ではナチスを擁護する発言をしてしまうのです。その姿は、同時代の多くの哲学者たちに、特に彼から指導を受けた優秀な弟子たちに、大きなショックを与えました。  1945年、第二次世界大戦が終結すると、ハイデガーはナチスに加担していた責任を問われ、学界から追放されてしまいます。そうして彼は、哲学の表舞台から退場することを余儀なくされたのです」  なぜ、私たちは世間に同調してしまうのか。なぜ、私たちは無責任になってしまうのか。そして、そのような状態から脱出し、自分自身の生き方を取り戻すためには何が必要か。  世間からの同調圧力に呑み込まれ、自分を見失ってしまう人。世間からの同調圧力に飲み込まれ、SNSでいつの間にか加害者になっている人が多い現代。そうならない生き方を見つけるためにも、そのヒントをハイデガーの『存在と時間』における人間の分析から学ぶことができるかもしれない。 <構成/日刊SPA!編集部 マンガ・イラスト/佐々木昭后>
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まんが! 100分de名著 ハイデガー 存在と時間

二十世紀最大の哲学書『存在と時間』がまんがでわかる!

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