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誰も聴いていない「地獄のオンライン会議」で起きたカオス。焦った司会者は…

ossan1-1おっさんは二度死ぬ 2nd season

オンライン講演会

新型コロナが世界を襲い、この世にコロナ禍という言葉が生まれた。それに伴って人々の移動やイベント、集会が制限されるようになり、マスクが必須のアイテムとなった新しい生活様式が始まり、3年以上の月日が経過した。 もちろん、このコロナ禍は多数の人々の心身に多大なる影響を与えたし、経済的な打撃もかなりのものだっただろう。コロナ禍があって良かった、なんて人はほとんどいないかもしれない。全てが悪い方へ向かった、それがコロナ禍だ。 けれども、唯一と言ってレベルで良かったといえる事象がある。それが「オンラインの発達」だ。これまで飛行機やら新幹線を使って地方に行き、打ち合わせやら会議をしていたものもオンライン会議で済むようになった。移動の交通費も時間も短縮できるこのメリットはあまりに大きかった。 もちろん、これらのシステムはコロナ禍の前から存在していたけれども、なんとなく「大切な話は会ってすることが誠意」みたいな雰囲気があった。これがオンラインの普及を阻んでいたのではないか。 しかしながら、コロナ禍によって「いたしかたない」という状況が訪れて初めて、広く使われるようになった。この変化は大きい。

従来と比べ物にならない、オンライン会議の便利さ

これらがさらに発達し在宅勤務によって出社の必要がなくなった人もいるかもしれない。オンライン学習もかなり使われるようになった。こういった仕事や勉学のオンライン化はコロナ禍によって10年は一気に進んだと思う。技術的には既に実現可能だったけど、使う人たちの意識が大きく変わったことが主要因だ。 そんな折、とある講演会というか座談会が開催されることになった。全国各地の精鋭が集まり、とある分野について話し合うというものだ。コロナ禍前は持ち回りで開催されており、コロナ禍になってからは中止となっていた。それが数年ぶりに復活したが、まだ対面は早いねということで、オンラインで開催されることとなった。 正直に言ってしまうと、あまり実りのない講演会だったので、そのたびに飛行機やら新幹線を使って出向くことが苦痛だった。けれども、オンラインとなれば最高だ。普通なら移動に1日、講演会に1日、移動に1日と3日間が露と消えるのに、講演会が開催されている90分の消費だけで済むのだ。無駄な出張費用も必要ない。主催する側も気楽なもので、会場の準備やら宿泊の準備やら、そういったものが必要なく、オンライン会議用の部屋をポンッと作るだけなのでかなり楽だったと聞く。 さっそく意気揚々と指定された会議室にアクセスした。 既に20名ほどの参加者が待機しており、時間ちょうどに講演会が始まった。最初はいちばん偉い人の登場だ。最初に挨拶をし、この講演会の意義を説明、そして本日の司会進行をすることが説明された。
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ほぼ聴いていなくてもバレないのが一番の利点
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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