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おっさんが、ChatGPTを使ってスナックのママを落とそうとした結果

おっさんだってAIを使いたい

 競馬場に場外馬券場、パチンコ屋、立ち飲み屋に場末の居酒屋、サウナに健康ランドに焼肉屋、雀荘ーー僕の行動範囲を振り返ってみると、おっさんの立ち寄りそうな場所ばかりだ。  少し湿気の多い場所で大きな石を裏返してみると、そこにはダンゴムシがいる。そこに驚きはない。ダンゴムシがいそうな場所を探したらダンゴムシがいたのだ。それと同じで、おっさんがいそうな場所を探したらおっさんがいた。これらの場所におっさんがいることはそれほど違和感がない。  それらの場所にはそれぞれ知り合いや友達がいて、それらもまた等しくおっさんなのだけど、そんなおっさんたちと話していて気が付いたことがある。 「さいきん話題のAIっていうの? あれで解決しようや」  僕と同年代か、それよりも若いおっさんはそうでもないけど、僕より上の年代のおっさん、いま話題の生成AIなどをかなり万能な未来の道具みたいに思っているのだ。はやい話、なんでも解決してくれる魔法の道具だと思っている節がある。

この連載原稿をChatGPTで書いてみた

 なにかと話題のチャット型生成AI、ChatGPTなどもそうだけど、それらはとても便利なものだけど、別になんでも解決してくれるというわけではない。万能ではないのだ。端的に言ってしまうと、使い方次第といったところだろうか。  以前、この大人気連載「おっさんは二度死ぬ」の原稿を、もう締め切りが迫っている、15分で書かないと殺される! という状況の時に、AIに書かせたろうとChatGPTに依頼したことがある。連載原稿をAIに書かせる。我ながらけっこう大胆な行動に出たものである。  それで出てきた原稿がこれだ。 “おっさん、迷子になりつつも未知の世界を探索”  おっさん、田村さんはある日、友達と一緒に山にハイキングに出かけます。しかし、途中で友達からはぐれ、迷子になってしまいます。  おっさんは迷子になった山の中で、食べ物を探し、自然との共存を試みることに。ここでは彼が野生の植物を誤って食べて不思議な効果を体験するエピソードが含まれます。  最終的に、おっさんは友達と共に山を脱出し、笑いと共感にあふれた冒険の経験を振り返ります。  これはちょっと厳しい。たぶんこれをそのまま入稿したらけっこう怒られる。なんだよ、野生の植物って。
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おっさんをどうしても野生にしたがるChatGPT
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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