「街から書店は消えてしまう」全盛期には50店舗以上あった書店チェーンも今や本店のみに
「出版不況」と言われて久しい昨今。私たちの日常の風景にあった『街の本屋さん』は猛烈な勢いで姿を消しているのだ。出版科学研究所の調査によると、2003年には2万あった書店の数は、2022年には半分程度まで減少している。一抹の寂しさを感じざるを得ない現状だが、時代の流れや大手書店チェーンにも負けずに経営している個人書店も存在する。
ビジネスマンが絶えず行き交う日本橋兜町に店を構えるのが、雄峰堂書店日本橋兜町店。日本屈指の金融街で、一体どのようにサバイブしているのだろうか。同店山森太郎氏に話を聞いた。
――なぜ、現在の場所(日本橋兜町)に店を構えたのでしょうか。
山森太郎(以下、山森):父が昭和45年に東京証券取引所の中でたまたま本の展示会をやったそうです。それが取引所の中の人達にかなり好評で、取引所の中に売店を置かせていただいたのが始まりだそうです。当時は30店舗位が集まる売店グループの1つでした。
――どのような方々が主に購入されるのでしょうか。
山森:常連さんに加え、証券会社や銀行など、近くで働いている人たちです。
――店でよく売れる本の種類は?
山森:週刊誌、会社四季報、『日経マネー』や 『ダイヤモンドZAi』といった株関係の雑誌、業界地図、新刊文庫、時代小説文庫なども売れます。新聞も1誌だけ扱っておりまして『日本証券新聞』は他に取り扱っているところが少ないらしく遠くからわざわざ買いに来るお客様もおります。ちなみにCDやDVD・ブルーレイも取り扱いしていますよ。
――置く本へのこだわりはありますか?
山森:やはり金融の街なので 経済・金融・株関係の本が中心です。
――近隣のチェーン店との客の獲得競争など、経営についてもお聞きしたいです。
山森:もちろん普通に来店されるお客様もいらっしゃいますが、外商配達がメインです。配達は、車による長距離便と、自転車による近隣便と2ルートほぼ毎日動いております。配達ルートは日本橋、茅場町、人形町などの近隣はもちろん、丸の内、八重洲、東京駅近辺、新川、八丁堀、銀座、新橋、虎ノ門、竹橋の企業さんが中心です。
――他の競合店との差別化はどのようなことを行っているのでしょうか?
山森:新刊の配本数、取り扱い在庫数などはどうしても大型店やチェーン店にはかないません。小型店が大型店よりも有利なことは小回りが利くこと。当店はほぼ毎日配達便が動いておりますのでお客様の要望に対して迅速に対応できます。店に在庫がなくても近隣の出版社まで取りに行き、そのまま届ける事もやっております。ご来店するお客様が探している本がお店になくても、インターネットを使ったお取り寄せで即対応できます(※翌日~2日後に入荷するとのこと)。
「金融の街」ならではのラインナップ
“小型店ならでは”の武器で勝負している
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【雄峰堂書店兜町店】
住所:東京都中央区日本橋兜町12-7 兜町第三ビル1階
営業時間:
(月)~(金)10:00~19:00
(土)作業中のみOPEN 11:00~15:00頃
(日)(祝)休み
※『四季報』発売日は7:00より営業
※「オンライン書店 e-hon」加盟店
アクセス:地下鉄東西線茅場町駅10番出口徒歩1分 都営浅草線日本橋駅D1出口徒歩4分
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