賛否で割り切れない沖縄の基地問題。「住民への説明さえしてくれない」石垣島の現在
<石垣の自衛隊駐屯地を考える その4>
2023年3月、石垣島に自衛隊の駐屯地が開設された。現地に飛び、住民たちの賛否の声を取材した。
連載4回目である今回は、賛成とも反対とも言えない立場をとっている人たちの話だ。自衛隊駐屯地の設置に対して住民投票を求めた人、基地開設をすすめるも反対派の声を聞こうと寄り添った末にオール沖縄の候補として市長選に立候補した地元議員。真摯に問題を考えようとする彼らの声について、記してみたい。
自衛隊基地の設置の決定は国の専権事項であり、住民の声は反映されないことになっている。しかしだからといって、秘密裏に基地を建設されてしまうと、島の住民の不安は募るばかりだ。そこで立ち上がったのが今回、紹介する宮良麻奈美さん(30)たち、島の有志である。彼らは2018年10月「基地建設の賛否を問う住民投票の会」を設立、住民投票を求めたのだ。
――住民投票の経緯を教えていただけますか?
宮良:2018年10月、基地建設の賛否を求める住民投票の会を作りました。基地建設について不透明なところが多かったからです。同じように考える人たちが他にもいたので、会を結成する運びとなりました。
――どんなところが不透明だと思われたんですか?
宮良:建設予定地とされた場所は、島の中央にある於茂登岳(おもとだけ)のふもと。水源地であり、信仰の対象でもあります。そんな大事な場所に基地を作って大丈夫か、環境調査は大丈夫か――。私自身はそう考えていました。
――基地反対の意見を主張するためという目的もあったんですか?
宮良:違います。賛成・反対どちらの意見を寄せてくださっても良かったんです。賛否ではなく住民に対してしっかりとした説明もなく、基地建設をすすめるのはいかがなものかと。
――住民投票の根拠は?
宮良:自治基本条例というものがあって、そこに住民投票条例に関する項目がありました。「4分の1以上の署名を集めたら市長が住民投票を実施しなければならない」と。そして実際、島の人口の3分の1の署名が集まりました。これによって石垣市は住民投票を実施する義務を負いました。しかし石垣市はいっこうに住民投票をおこなわなかった。
住民投票を求める人たち
重要なのは基地に賛成か反対かではない
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