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賛否で割り切れない沖縄の基地問題。「住民への説明さえしてくれない」石垣島の現在

自衛隊の次は米軍がやってくる。農家の不安

――基地に反対する人たちはどんなことを考えていたんですか? 砥板:島の中心部にある於茂登岳(おもとだけ)、そのふもとでパイナップルやサトウキビを栽培している周辺4地区の皆さんは不安を持っていました。そしてその不安は今も抱き続けています。次はヘリポート、その次は米軍とどんどん基地が強化されていくんじゃないかと不安に思われています。彼らの声を聞いていかなきゃいけない、不安を払拭する必要があると思い、声に耳を傾けました。  ただ駐屯地がもう完成云々という時期になって、昨年あたりから反対運動の声はどんどん小さくなってきましたが。諦めムードだったんです。
パイナップル畑から自衛隊駐屯地を遠望する

パイナップル畑から自衛隊駐屯地を遠望する

――近頃は台湾有事が起こる可能性が取りざたされていますね。 砥板:そうなんです。先島が確実に巻き込まれるということで、全島民避難や国民保護が表立って議論されるようになってきました。シェルターへの一時的な避難というより、全島民の県外避難をどうするかという議論が今や中心となりました。

島の戦場化を前提とした国民保護計画の危うさ

――今後の見通しは? 砥板:可能性としては、長射程ミサイル配備を含めた基地機能の強化。その賛否を問う住民投票などが議論として上がってくる可能性があります。  国や自衛隊からしたら、住民投票の結果を受け止めることはもちろん、住民投票の実施を受け入れる義務はないという感じですが、かといってやらずに押し切ったら押し切ったで、やはり市民感情はそこにあるわけですからね。その自衛官も家に戻れば、一市民として家族もいて、生活もしなきゃいけない。市民感情をないがしろにすればするほど、やっぱり自衛隊への信頼は、市民から失われていきますよ。 ――台湾有事が起こった場合、島から避難することになるんですか。 砥板:石垣市議会にも国民保護の委員会があって、国民保護計画をやってるんですけど、これがもう机上の空論。全島民避難なんて絶対非現実的なんですよ。戦争が起こった場合、国民保護の名のもとに島が戦場になるのを想定して、話が先行しちゃっている。  なので僕はそれに対して牽制する意味で非武装地帯にしたらどうだと主張しています。先島諸島を非武装地帯にして、人道回廊にする。台湾有事が起きてしまったら、自衛隊の活動をやめてもらうというのはどうなんですかと。そうしたら台湾からの避難民を受け入れられますよと。 ――ありがとうございました。
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様々な意見を聞いて、筆者の考えは……
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