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「子供はとっくに消えた。増えたのは害獣」それでも限界集落が消滅しない理由とは

「人はもう住んでいない」集落

限界集落

水力発電所の取水口近くにある大川村・下切集落へと続く石の階段。木材の運搬用モノレールも設置されていた

 柳生さんに別れを告げ、住民が1人しかいないという同村の下切集落へ行ってみることにした。そこへ向かう道は草木が生い茂り、道路の体裁をとっていない。  ようやく辿り着いた先には今にも山に呑み込まれそうな空き家があるだけ。集落の入り口へ案内してくれた男性曰く「人はもう住んでいない」らしい。住民票だけ残している状態で、実質は住民ゼロ。  それでも「いつ潰れてもおかしくない村だからこそ、地域外の人を柔軟に受け入れる重要性を地域の人も理解してくれている」(柳生さん)というように希望はある。大川村は高齢者のためのサービスとして、ボランティアの運営で行う無料の医療通院支援や、公共交通利用が困難な人々に向けた福祉タクシーなども実施。

“移住者も地域の高齢者も共存する村”へ

限界集落

下切集落の入り口まで案内してくれた近隣住民の80代男性は「人が少なくなるのはやっぱり寂しいね」と語った

 移住者も地域の高齢者も共存する村を目指す。「最も大事なのはそこに住む村民の暮らし」と大川村役場・担当者は語る。 「田舎を盛り上げたい」とIターンした柳生さんや、「妻の介護と家業を引き継ぐため」Uターンした吉川さん。彼らのような人がいる限り、集落は意外となくならない。 取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
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